岩波現代文庫<br> 隔離―故郷を追われたハンセン病者たち

岩波現代文庫
隔離―故郷を追われたハンセン病者たち

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 306p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784006030438
  • NDC分類 916
  • Cコード C0136

出版社内容情報

家族にすら拒絶されるという悲しみを背負い,病苦と闘ってきたハンセン病者たち.医学生の頃から彼らに深い共感を抱き続けた著者が,同郷の元患者を各地の療養所に訪ねた.沈黙を破り語られる「終生強制隔離」の真実とは.

内容説明

故郷の人々、最も親しい家族にも拒絶されるという悲しみを背負い、病苦と闘うハンセン病者たち。医学生の頃から彼らに深い共感を抱き続けた著者が、長島愛生園など五カ所の療養所を訪ね、同郷の元患者一人ひとりの話を聞く。「故郷が同じならなつかしい…」と半世紀の沈黙を破り語られた、「終生強制隔離」の隠された真実。

目次

1 収容の日(回春寮世話係;生木を裂くような別れでした ほか)
2 らいを病んだ母(歩きました、座りました、待ちました;私は鬼でした ほか)
3 戦争とらい(四つの舟;患者が殴られてるんです ほか)
4 島での生活(腹巻きの中の米;野菊など供花とし墓を去りにけり ほか)

著者等紹介

徳永進[トクナガススム]
1948年鳥取県生まれ。74年京都大学医学部卒業。京都国立病院、大阪吹田の同和地区診療所医師を経て、現在鳥取赤十字病院内科医。82年、『死の中の笑み』で第四回講談社ノンフィクション賞受賞
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Schuhschnabel

2
再読。鳥取県は無らい県運動に関する記録に恵まれており、本書の他に県が編纂した『鳥取県の無らい県運動』(こちらは未読)がある。国のハンセン病政策をどのように評価するにせよ、結果として家族や故郷とのつながりを断ち切ってしまったという点に関しては反省しなければならない。それにしても、家庭の事情を理由に入所を断る人や、一旦入所した後一時帰省を装って(もしくは脱走して)社会復帰している人の何と多いことよ。やはり隔離政策と言えるほどの体系だった制度設計はされていなかったのではないか。2021/08/06

Ikuto Nagura

2
昭和50年代はじめに医師である著者が、半世紀に渡り隔離されている同郷の癩者たちから聞き取った証言をまとめる。40人の患者たちが受けてきた差別の証言の数々が胸に突き刺さる。そして、彼らが語る十分に悲惨なその事実ですら、彼ら自身の尊厳を守るために本音が隠されて語られていることを徳永は見抜いていく…。無癩県運動とか祖国浄化という名による、癩者の終生強制隔離が進められた事実から何を学ぶべきか。さらに療養所で“ノン”と呼ばれた誤診患者の存在からも。私たちの無知による恐怖心を、差別心を、そして無関心を恥じて学ばねば。2016/07/11

とんこ

1
5年以上前、瀬戸内の海沿いをドライブした時の事。橋があったので渡ってみると、何かの施設のような雰囲気の場所に出た。静かだけど生活の気配があり、入っていい場所なのか戸惑った記憶がある。 後にそこが長島愛生園であり、何の気無しに通った橋は邑久長島大橋であったことを知った。 長島愛生園は国内初の国立療養所で、 患者さん達は家族から引き離されこの島に隔離されていた。 邑久長島大橋がかかったのは創園から58年も後の昭和63年。 この事があってから、ハンセン病関連の本を何冊か読んだ。その中の一冊。読むべき本と思う。2020/07/20

うたまる

0
国の政策により隔離を余儀なくされたらい患者40名の証言集。感染症である限り隔離自体は容認できる。問題は、それが物理的隔離に止まらず社会的隔離にまで及んだことだ。法を制定したのも運営に当たったのも国家だが、その要請は間違いなく国民の総意。我々の生半可な知識と過剰な防衛本能の産物なのだ。「帰ってくるな、この家に近よるな」も「まだ、生きとるのか。もう、はよう死なんか、はよう死ね」も、親の言葉とはとても思えない。普通決して言わない言葉を言わせたのも、同じく社会の空気。らい予防法は無くなっても、この空気は残ってる。2019/02/25

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/1370406
  • ご注意事項

最近チェックした商品