内容説明
革命の父レーニンの後に現われ、人々が「全民族の父」とみなし、神とあがめたスターリン。だが、その正体は自由な芸術を検閲によって弾圧し、政敵を次々と粛清する、さながら中世の異端審問官のような独裁者であった…。同時代人の証言もまじえ、スターリン支配下に現出した恐るべき大粛清の実態を暴き、独裁者の内面に文学的想像力で迫る。『磔のロシア』と同時代の事象を、スターリン権力の側から一点透視法的に描き出す。文庫版には、主な登場人物の紹介付き索引を付した。
目次
第1章 奇跡 大審問官の誕生―一九二四‐一九二九(「栄光」の予感;巨大検閲機関の誕生―前史1 ほか)
第2章 暗雲 二発の銃声―一九二九‐一九三四(集団化の悲惨;進化する検閲 ほか)
第3章 神秘 大テロルの時代―一九三五‐一九四〇(鎮魂歌とユーフォリア;幻のフィルム『ベージン草原』 ほか)
第4章 聖戦 ナチス・ドイツとの闘い―一九三九‐一九四五(大戦前夜の悲劇;レニングラード交響曲 ほか)
第5章 権威 「われは国家なり」―一九四六‐一九五三(ジダーノフ批判―歴史的な決定;映画、演劇、音楽への批判の波及 ほか)
著者等紹介
亀山郁夫[カメヤマイクオ]
1949年栃木県生まれ。東京外国語大学外国語学部ロシヤ語学科卒業。東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。東京外国語大学教授、同学長などを経て、名古屋外国語大学学長。専門はロシア文学・ロシア文化論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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