出版社内容情報
科学/技術は、19-20世紀に大きく変貌した。専門家集団内部での閉鎖的・自己完結的な科学から、外部社会に開かれ、軍事や企業の技術開発の目的のために利用される科学へ。さらに利便性ばかりでなく、将来の安全性も考慮した科学へ。こうした科学のあり方の変遷を論じつつ、望ましい科学研究や科学教育のあり方を提言する。
内容説明
科学/技術は、いかにして専門家内での閉鎖的な学問から社会に開かれた学問へと変貌したのか。さらに将来の安全性を考慮した科学とは?科学史の泰斗が歴史を振り返り、望ましい科学研究や教育のあり方を提言。岩波現代文庫版では、コロナ禍のなかでの科学/技術の専門家と政治・社会について論じた書き下ろし新稿を収載。
目次
1 ノーベル賞の功罪
2 科学研究の様態の変化
3 新しい科学像の一つの象徴
4 西欧科学/技術と東洋文化
5 科学/技術と生活空間
6 科学/技術と教育
補論 科学/技術の専門家と政治・社会―コロナウイルス禍のなかで
著者等紹介
村上陽一郎[ムラカミヨウイチロウ]
1936年生まれ。東京大学名誉教授、国際基督教大学名誉教授。専攻は科学史、科学哲学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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trazom
82
先生の信念が伝わってくる。科学者とは、本来、自己充足的で自己閉鎖的なものの筈。それが、使命達成型で外部に開いたことによって、結果的に、科学者以外の人間・組織によって研究目的を規定され、科学者は、能力と労力が搾取されるだけの存在に堕したと嘆き、その傾向を助長する諸悪の根源がノーベル賞であると断罪する。また、文化的イデオロギーと無縁の「科学」と文化依存的な「技術」の融合が齎す矛盾から、鋭い文明論が展開される。クリスチャンとして、アマチュア・チェリストとして尊敬する村上先生だが、高いご見識に改めて感銘を覚える。2021/06/05
onoeume
0
科学とはそもそも何かという根本が学べた。2022/03/27