出版社内容情報
功利主義にとってかわる「公正としての正義」論のエッセンスを,ロールズ自身が一般向けに簡潔に概説.
内容説明
『正義論』『政治的リベラリズム』等で著名な政治学者が、「公正としての正義」と自ら名付けた正義の構想の理論的到達点を、批判にも応えながら簡潔に示した生前最後の著書。講義録をもとに加筆・編集したもので、大学生のテキストとしても、一般読者のロールズ入門書としても好適。文庫版では、「訳者解説」を新たに付す。
目次
第1部 基礎的諸観念(政治哲学の四つの役割;公正な協働システムとしての社会 ほか)
第2部 正義の原理(三つの基本的な要点;正義の二原理 ほか)
第3部 原初状態からの議論(原初状態―その構成;正義の環境 ほか)
第4部 正義に適った基本構造の諸制度(財産私有型民主制―序論;政体間の幾つかの基本的対比 ほか)
第5部 安定性の問題(政治的なものの領域;安定性の問題 ほか)
著者等紹介
ロールズ,ジョン[ロールズ,ジョン] [Rawls,John]
1921‐2002年。元ハーヴァード大学教授
田中成明[タナカシゲアキ]
1942年生まれ。京都大学名誉教授
亀本洋[カメモトヒロシ]
1957年生まれ。明治大学法学部教授
平井亮輔[ヒライリョウスケ]
1957年生まれ。名城大学法学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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しんすけ
21
ロールズの主張は二十世紀の「実践理性批判」であり、二十一世紀への問いと観るべきものである。 しかし『公正としての正義再説』では、ロールズの主張は、その主著から一歩下がって断定的な口調になるのを避けている感もある。 何が言いたいのかと思うと読みにくい本なのだが、「正義」は断定的に論じられるものではない。そう思って読めば言葉の理解を踏む超えて、ロールズの吐息を聴くような、そんな気もしてくる。なぜなら断定を避けているような表現さえ観られるからである。2022/10/27
ア
5
新書に触発されて読んだ。かなり難しく感じた(というか分からなかったところ多々ある)が、「公正としての正義」を「簡潔に説明した書物」とのこと。『正義論』と『政治的リベラリズム』を読む足がすくむ…。まずは近いうちには、セン『不平等の再検討』やハーバーマス(どれ読めばいいんだろ)あたりにチャレンジしてみようかな。2022/01/31
朝ですよね
2
公正としての正義は包括的教説ではない。この点は多くの誤解を招いたそうだ。難解な内容ではあるが、功利主義への批判は明白。実際、理想化された政治的構想としては直観的に功利主義は不適切と考える人が多いのではないか。平等な基本的諸自由が何よりも優先するというのも明白。格差原理とミニマム保障の比較は、格差原理がより社会的協働を促すという点で支持されているが、率直に言ってよく分からなかった。2022/08/11
ジョン
0
ロールズがハーバードで行った講義を元に書かれ、『正義論』の入門書として最適とされる『公正としての正義 再説』を読了。ロールズの入門書を2冊読み、基本概念(「重なり合うコンセンサス」、「包括的教説」、「基本財」、「善の構想」…)をある程度頭に入れていたがそれでも難解だった。しかし、様々な包括的教説を信じる人々がいる中でどのような社会が正義にかなっているのかという壮大なテーマに挑んだロールズの思想の一端に触れることができ満足度が高かった。2022/09/02
Hiroshi Higashino
0
斜め読み.『正義論』とか他の著作と合わせてしっかり読み込まないと理解ができそうにない.2022/08/18