岩波現代文庫
デモクラシーと国民国家

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  • サイズ 文庫判/ページ数 333p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784006002190
  • NDC分類 311.04
  • Cコード C0131

内容説明

福田歓一は丸山眞男とともに戦後日本の政治学を理論的にリードした政治思想家。本書は岩波現代文庫のために新たに編まれたオリジナル論文集である。ヨーロッパ政治学史への深い学識に支えられて紡ぎ出された同時代的・原理的考察は今日なお、現代を照らす指針としても有用であろう。

目次

第1部 原理的考察(現代の民主主義―象徴・歴史・課題;国民国家の諸問題―現代における政治社会論のために;民主主義と国民国家;民族問題の政治的文脈―擬制としての国民国家)
第2部 概念の歴史(政治認識の用語について―民族の場合を中心に;思想史の中の国家;最近のcivil society論と政治学史の視点)
第3部 問題の日本的文脈(日本における「国民的なもの」の形成―課題と方法;二十世紀における君主制の運命;国民主権再考)

著者等紹介

福田歓一[フクダカンイチ]
1923‐2007年。東京大学法学部教授、明治学院大学学長を歴任。東京大学名誉教授。政治哲学

加藤節[カトウタカシ]
1944年生まれ。成蹊学園専務理事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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佐島楓

16
民主主義という言葉の変質と、冷戦との関係など、今まであまり私の中で論理化できていなかったことを学べた。難解な内容ではあるが、読めてよかったと思う。やはり世界史をきちんと勉強しなければ・・・。2012/10/26

ああああ

2
難解であるし、時代性(共産圏についての情報が十分得られなかったのだろう)を感じる記述もある。しかし、福田の概念的な整理・説明は、「国家」や「民族」といったコトバを曖昧に使ってしまっている我々に与えてくれるものは大きい。 また、民主主義を考えるにあたり、一人ひとりが「主体性」を持つこと。それはあまりにも理想的すぎるのかもしれない。つまり、安寧に日々を暮らしたいという欲望がある。人に甘え、依存したい自分がいる。福田の力強い、透徹した思考に比して、自分の弱さが抉り出されて辛くなってしまった。2020/04/15

0
polis,civitas,state,nationなど国家を表す概念を思想史的に追い、その変遷や当時・現代への影響を明らかにする。難解な箇所は多いが、大変示唆に富んでおり、編者も述べているように、同時代の丸山よりはるかに読まれていないことが非常にもったいなく思われる。また、君主制(天皇制)に関する論文も興味深く、今日の日本を考える上で不可欠な視点を与えてくれる。2016/07/23

稔田 虹

0
戦後、平和を実現する為には、まずもって自国の安全を保障することなしには不可能だ、と主権国家は訴えた。それにより、核兵器を所有するにいたり、これは平和のための核兵器だと、擬制的な思考を元にそれを生み出した。だが、福田は言う。「この擬制に代わる新しい拠り所を探すことが、平和実現への道」だと。読後、私は考えた。今の世界は、いまだ拠り所を見付けられずにいる。拠り所としてTPP参加を積極的にアメリカは訴えるが、はたしてそれは正しいのだろうか、と。2011/11/02

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