岩波現代文庫
「もの」の詩学―家具、建築、都市のレトリック

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  • サイズ 文庫判/ページ数 309p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784006001537
  • NDC分類 702.3
  • Cコード C0122

内容説明

身体の快楽が推し進めた椅子の変容の歴史、「もの」の蒐集から仏革命をへて美術館・博覧会を作り上げていったブルジョワジーのイデオロギー、キッチュ王ルートヴィヒ二世が心血を注いで建てたまがいものの城、巨大主義に取り憑かれたヒトラーの建築都市。「もの」に凝縮されている文化や社会の無意識を探る記号論的思考の労作。

目次

第1章 「もの」と身体(文化を創造する身体;椅子の変貌 ほか)
第2章 コレクションから展示へ(「もの」を蒐集する;美術館と「芸術」の発生 ほか)
第3章 虚構の王国(ルートヴィヒ二世の城;一九世紀の帝国幻想 ほか)
第4章 ヒトラーの都市(ナチズムとモダニズム;独裁の現象と公理 ほか)

著者等紹介

多木浩二[タキコウジ]
1928年生まれ。東京大学文学部美学美術史学科卒業。東京造形大学教授、千葉大学教授をへて、評論家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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oDaDa

2
十代の頃にまずこの本に出会っていれば…と思わずにはいられない。何故なら、ここに挙げられる邦訳の参考文献は悉くこの頃まで蒐集してきたものばかりだから。この本から入れば遠回りせず片っ端から読んでいけた、それほどまでに我が喫緊のテーマがてんこ盛りなのである。「もの」と身体、コレクションから展示へ、虚構の王国、ヒトラーの都市…いずれも歴史学の教科書からはこぼれ落ちてしまうような内容を記号論を用い縦横無尽に論じている。マニエリスム、ロマン主義、象徴主義、ファシズム建築を貫く共鳴点が明瞭になった。 2022/02/10

左手爆弾

1
もっとわかりやすく書け。本書は人間・モノ・権力の関係で構成されている。人間と権力との関係を作り出すのはモノによってである。それはまず、17世紀に出現する、身体の安楽よりも権力の表現を優先する家具に見られる。このとき、身体がモノを通じて権力を作り出すと同時に、権力がモノを通じて人間のあり方(正しい姿勢や態度)を規定している。このようにモノを通してみることで、当時の権力(そこには「知」も含まれる)が見えてくる。同様のことが様々な時代の様々なモノについて言われる。それ自体は面白いが、書き方がもったいぶっている。2018/01/17

編集兼発行人

1
西欧における家具から都市まで様々な物象から見えてくる事象や心象に関する考察。儀礼と快楽とを均衡させる国家の振舞い。物象を事象から分離して時系列的に並置した結果としての芸術。群衆を政治的に纏める都市計画と経済的に纏める博覧会。物象の文化的な伝播が上流層のみの水平方向から下層への垂直方向へと変化した十九世紀。価格が齎す美醜。等々といった物象の「文法」と「語彙」とに関する詳述の中でも大戦間のナチスドイツ下で進行した巨大主義や永遠主義を象徴する演劇性に反比例した推進者ヒトラーの「空蝉」感を解説した章が取分け出色。2013/07/12

i-miya

1
1984 キッチュの発生 バイエルン王ルードウィッヒ2世の建築 一. 文化を創造する身体 ヴァルター・ベンヤミン エドガー・アラン・ポー 「消費技法」 「身体」 メルロ・ポンティ マルセル・モース =身体技法 ルロワ=グーラン ジェニングスの一般法則 カント「判断力批判」 ベラスケス「インケンティウス10世」 (1650) 椅子 背がかたむきはじめる ウィトルウィウス 「建築十書」 アルベルティー ルネサンス 「建築書」 お茶を飲む習慣 17C後半スペイン2008/01/21

KakeruA

0
家具に始まり、空間・都市などの「もの」が生まれる背景を記号論を中心に探る。身体的、空間的、政治的、神話(寓話)的なスケールまで話は広がり、イスが生まれる背景に潜む本能的行為の政治性と寓話的プロパガンダのもと形成されるナチ国家への接続にうなずかされる。2013/10/16

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