内容説明
よく笑い、子供や動物に触れるのを好み、音楽好きだったレーニン。彼の唯物論は、生の律動に触れる思想だった。ベーメを経由してヘーゲルの論理学に胚胎する東方キリスト教的三位一体論は、マルクスに継承される。西欧哲学の底を突き破る20世紀のグノーシスとしての弁証法的唯物論の可能性。誰も書かなかったレーニン像。
目次
第1章 ドリン・ドリン!
第2章 笑いと唯物論
第3章 ヘーゲルの再発見
第4章 はじまりの弁証法
第5章 聖霊による資本論
第6章 グノーシスとしての党
結び 恐がらずに墓へ行ったレーニン
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
i-miya
8
(同時代ライブラリーに寄せて)=(唯物論のための方法序説)唯物論のイメージ。20年前、明確にできた。宮古島で一人の女性に会う目的。沖縄→宮古島、二等客船の中で。神占いのユタの仕事をしている女性。西南諸島に多い。仮面の神。卒論。折口信夫「まれびと論」「まれびと神」のあり方。精神分析学でいう排除(Forclusion)によく似る。1年のうちの特別な日の、特別な場所に出現。人々に重要な何事かを残す。そして去る神。勢いよく噴出、パラノイアの幻想に苦しむ。2010/02/04
6 - hey
5
底本がレーニン研究でないため、ところどころこれってレーニンのどこに関係あるの?と自分みたいな素人は思ってしまいますが、レーニンの思想を丹念に解説している良書。贅沢をいうと、少しでもいいからレーニンの略歴を入れてほしかった。 なぜ職人として「革命家」が必要になったのかがわかったことが本書で得た最大の喜び。 たまたまよんだ吉本隆明『カール・マルクス』では中沢先生が解説を担当しており、吉本先生から本書でも出てくる三位一体説のヒントを得たと書かれている。2012/10/22
肉欲棒太郎
4
名著。『第5章 聖霊による資本論』には特に学ぶところが多かった。ソ連崩壊の直後という時期にこのような本を書いた中沢は、ボクダーノフらに対抗して『唯物論と経験批判論』を書いたレーニンになぞらえれば、「事情通の現代思想家たちすべてに反対して、「古い思想」の可能性にかけた(p.54)」のだと言えるだろう。唯物論は、死んでいない。2016/09/24
onisjim
4
不思議なほど楽しい本。生き生きとしたものの思想家レーニン、そういう読み方があったっていいじゃないか。2013/05/10
peeping hole
3
これ読んで資本論がわかったーー!って絶叫したら隣人に「これは中沢新一史観だから注意しなさい」って怒られた。エルンストマッハ〜ボグダーノフ〜レーニン〜ヤコブベーメ〜グノーシス思想。ユリシーズからはじまってバタイユ通ってプルーストで終わるけどレーニンの本。すごい。2021/03/17