岩波現代文庫
歴史の教訓―アメリカ外交はどう作られたか

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  • サイズ 文庫判/ページ数 338p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784006001209
  • NDC分類 319.53
  • Cコード C0131

出版社内容情報

為政者は往々にして歴史を誤用する―アメリカの外交史家が,第二次大戦,冷戦,朝鮮戦争,ヴェトナム戦争時の為政者の判断の背景を検証.歴史を正しく政策に活かす手法を示し,ヴェトナム戦争後10年の予測を具体的に行なった名著.

内容説明

統治者たちは、しばしば身近な過去に類推例を求めて外交政策をつくる。ところが多くの場合、歴史を誤用しているのだ。第一級の外交史家メイが、第二次大戦から、冷戦、朝鮮戦争、ヴェトナム戦争に至るアメリカ外交の過誤を検証。歴史を政策に活用する手法を説き、歴史政策学のありようを指し示す。“和平のための爆撃”の分析など、九・一一後の混迷する現代への示唆に富む名著。

目次

第1部 歴史の誤用(第二次世界大戦―最後の平和を求めて;冷戦―第二次世界大戦の再発を防ぐために;朝鮮・一九五〇年―歴史対計算;ヴェトナム―プロクルステスの寝台)
第2部 歴史の活用(分析―和平のための爆撃;予測―今後十年間のアメリカ外交政策;歴史家の任務)

著者等紹介

メイ,アーネスト・R.[メイ,アーネストR.][May,Ernest R.]
1928年、米国テキサス州生まれ。外交史家。カリフォルニア大学卒業後、統合参謀本部等を経て、現在ハーバード大学教授。歴史学部長、政治学研究所長等を歴任

進藤栄一[シンドウエイイチ]
1939年、北海道生まれ。京都大学大学院修了。現在、筑波大学名誉教授
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感想・レビュー

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3
アメリカ戦後外交史を振り返りながら、政策決定の中でどのように歴史が誤用されてきたかを克明に描いている。雑な歴史の類推が多くの悲劇を招いてきたとし、多様な専門歴史家の育成が急務であると主張する。もともと70年代の著書だが、指摘されている問題の本質は変わっていないように思われる。2015/06/03

わび

2
20世紀のアメリカ外交を事例に用いて、政策形成者たちがいかに歴史を誤用してきたか、歴史は政策決定にいかに貢献できるのかについて論じた一冊。著者は、歴史家が史料に立脚しているために政策形成者の類推を相対化し、逆により深い分析を提供することができると主張する。提言も含めて結論は大体穏当なものではあるが、歴史家は先入観からは自由ではなく、引き出される解釈も様々である時に政策形成者はどういった基準で歴史家の解釈を取り上げれば良いのだろうか。そこを示すことができない限り「誤用」は続いていくのではないだろうか。2019/08/07

ottohseijin

2
辛辣>『きわめて不確実な条件で決定を行う人が未来を予測しようとする時、彼らはかならず、過去に起こったと自分らが信ずる事実に照合して予測を行う。現在に対する彼らの見解を作るものは、かつて発生したと彼らが信じている事柄である。だが、彼らは過去に関して、あまりに浅薄で貧弱な知識しか持ち合わせていないことが多い。しかも不十分な情報しか持たないために、しばしば貧弱な推論しか下すことができない』2011/05/07

shuhei0706@gmail.com

1
達観することがこれほどまでに難しいことなのか。その世代でもっとも優れた頭脳を持つと考えられていた人たちでさえ歴史を読み誤る、自分が身をもって体験し、その時に感じた印象を1番に優先してしまい、「歴史の教訓」をいとも簡単に見逃してしまう。人間の理性などその程度のものなのである。で、あるならばどうすればよいのか、やはり、客観的な視点を持つ組織を体系として持たなければならない。最高の頭脳に対する監視役を常に設けなければならない。では個人のレベルにおとしこんでみたらどうか、個人は組織よりもさらに感覚に左右されやすい2012/01/09

さいごの砦

0
70年代のものと少し古いが、歴史を政策に繋げる重要性が豊富な研究量からよく分かる。特に政策決定者は時代の近い事象を誤用して政策を立てやすいというのはすごく共感できるところだった。2016/06/08

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