岩波現代文庫
自己のテクノロジー―フーコー・セミナーの記録

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  • サイズ 文庫判/ページ数 278p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784006001162
  • NDC分類 135.5
  • Cコード C0112

出版社内容情報

死によって中断された新しい研究の原型は,このセミナーの記録に見出される.自己の問題へと向かっていたフーコーは,〈自己の統制〉の歴史を追いながら,どのような倫理に至ろうとしていたのか.最晩年の貴重な講義緑.

内容説明

死によって中断された新しい研究構想の原型は、このセミナーの記録に見出される。哲学的思考を駆使して多分野の歴史を書きかえてきたフーコーは、最後は自己の問題へと向かった。自己の統制の歴史を追いながら、どのような倫理を構想していたのか。フーコーの提起に触発されたセミナー参加者の議論も熱い貴重な講義録。

目次

1 真理・権力・自己―ミシェル・フーコーにきく(ラックス・マーティン)
2 自己のテクノロジー(ミシェル・フーコー)
3 シリアのトマス伝説における自己のテクノロジーと自己認識(ルーサー・マーティン)
4 謙虚の劇場と疑念の劇場―砂漠の聖者たちとニューイングランドの清教徒たち(ウィリアム・E.・ペイドン)
5 ハムレットの「形成の鑑」―権力・自己・宗教改革(ケネス・S.・ロスウェル)
6 ルソーの『告白』―自己のテクノロジー(ハック・グッドマン)
7 フーコー、フロイト、自己のテクノロジー(パトリック・H.・ハットン)
8 個人にかんする政治テクノロジー(ミシェル・フーコー)

著者等紹介

フーコー,ミシェル[フーコー,ミシェル][Foucault,Michel]
1926‐84年。エコール・ノルマル・シュペリウールで哲学を学ぶ。クレルモン=フェラン大学、パリ大学教授を経て、コレージュ・ド・フランス教授(1970‐84年)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

袖崎いたる

10
現行社会において潜勢的でありながら先鋭的であるようなテーマ。いってしまえば自己啓発本の観さえある。内容としてはフーコーが自分のこれまでの仕事の自伝的な要素を語りながら、そこに通底していた問題意識を主題的に取り上げるというもの。彼のいう「テクノロジー」はガタリにおける「機械」とも関連させることもできる。国内では千葉雅也の『勉強の哲学』での〈勉強-変身〉や東浩紀の『ゲンロン0』での〈観光-誤配〉ともリンクを張ることができる。つまりはソリューションの哲学みたいなレベルの話として読める。重要なソフトだ。2017/07/03

gorgeanalogue

8
多用で読書停滞。フーコー2本の講義とグットマン「ルソーの『告白』」ハットン「フーコー、フロイト、自己のテクノロジー」が面白かった。個人的には、ヒュポムネーマタと書簡に代表される「書くこと」と主体化がどう関係するのかが一番の関心。すると、キリスト教文化における自己否定と「書くこと」も当然のこと関係するのだろうな。自己肯定と自己否定がない混ぜになったような、禅の墨跡の美学とも関係があるんではないか。2021/05/17

★★★★★

6
死を目前にしたフーコーと、そのアメリカにおける仲間達のセミナーの記録。西洋の哲学的伝統の中では自明で確実なものとされてきた「自己」について、その認識や統御の技術がどのように変化してきたのかを問うことで、実際のところは歴史的文化的コンテクストに依存する自己概念の動態を明らかにしてゆく、ってことですよね。面白かったけれど、初期フーコーしか知らないのでちと理解不足かも。2010/02/21

白義

5
晩年のフーコーは人を主体化させる社会の権力から、人が自分自身を自己として成り立たせる技術、自己の問題に眼差しを注いだ。古代ローマのストア派から清教徒、ハムレット、ルソーやフロイト、そしてフーコー自身に至るまでフーコーセミナーの俊英たちが自己の統御、実践の技術を歴史的に探究した好企画。人は、本来人々が思うより自由なのだと訴え、新たな真理のゲーム、生の芸術化に歩み出した後期フーコーの問題意識がよくわかる。オススメ2011/11/04

にゃん吉

3
難しい箇所も多々ありつつ、自己を統御する技術の系譜を辿る過程は面白く感じました。晩年のフーコーが、古代ギリシア・ローマの自己に対する気配りという技術、実践に関し、新たな自己の可能性を感じていた(のかな?)ところは、思想の大転換のようですが、その衝撃を感じるには知識不足。思想として面白い気がしたのですが、日本のこととして考えると、近代をどうにか接ぎ木したら、監獄とか学校といった権力作用の宿痾付きで、今度は、その処方箋は古代ギリシア・ローマにあると言われても、何だか因果な話だし、ピンともこないなと。     2020/03/03

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