出版社内容情報
科学的創造は科学者の強烈な個性によって成し遂げられる.ニュートン,ダーウィンら6人の天才科学者の精神病理と創造性の謎に迫る.分裂病圏,躁うつ病圏,神経症圏に分類される病理と創造性の特徴を明らかにする人間研究.
内容説明
科学的創造は科学者の強烈な個性によって成し遂げられる。ニュートン、ダーウィンら六人の天才科学者の精神病理が人生の転換期や危機と絡まり合って、創造性にどのような影響を与えたのか。科学者としての業績を描きながら、分裂病圏、躁うつ病圏、神経症圏に分類される気質とその創造性の特徴を明らかにする人間研究。
目次
アイザック・ニュートン
チャールズ・ダーウィン
ジグムント・フロイト
ルートヴィヒ・ヴィトゲンシュタイン
ニールス・ボーア
ノーバート・ウィーナー
科学者の精神病理と創造性
著者等紹介
飯田真[イイダシン]
1932年生まれ。東京大学医学部卒業。新潟大学医学部教授を歴任
中井久夫[ナカイヒサオ]
1934年生まれ。京都大学医学部卒業。神戸大学名誉教授。甲南大学文学部人間科学科教授
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感想・レビュー
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有理数
18
大変面白かった。本書は、ニュートン、ウィトゲンシュタインといった歴史上の天才とされる人物たちの生涯を精神的・心理的に分析し、彼らの業績と病的な側面の関係を集成する。これを病蹟学というらしい。例えばニュートンなどは人間不信で引きこもりがちな一生を送ったが、彼の天才的な業績は、彼を「現実」に連れ出す理解者の登場と深く関係があることが、様々な過去の記述から見えてくる。このように、天才の発想や偉業の裏には、複雑な人間関係と生活、性格といった病的な背景と一定の法則が存在することを、本書は伝記的な筆致で紡いでいる。2016/02/25
まりお
9
6人の天才科学者を、「精神疾患」という視点から一生を考察したもの。天才を、精神の病であるという視点からの考察に興味を抱き、この本を選んだ。この視点からの見ると、何だか常に不安定さが付きまとっているように感じられた。2016/11/11
袖崎いたる
6
分裂病圏、躁うつ病圏、神経症圏の三すくみが展開する科学の創造史。精神的に参ってる人が本書から参考になるライフスタイルやライフクリードを看取することは可能。2018/06/17
kotoniai
4
中井久夫について知ろうと思って読み始めたけど、色んな偉人について知識が深まったことの方が収穫になったよ。みんなに天才って言われてる人でも、生活は結構ぼろぼろで、特に人間関係なんかは破綻してて大変なんだなあって思った。中井久夫と飯田真はそういう天才たちを穏やかに眺めている感じがして好感が持てたよ。あと、天才たちの精神病理を語りつつ、彼らの業績を軽く、分かりやすく解説してくれてるのでお得感が高い!2009/06/21
koala-n
3
天才科学者6名(ニュートン、ダーウィン、フロイト、ウィトゲンシュタイン、ボーア、ウィーナー)を病蹟学的に分析した本。クレッチュマーの気質分類を基礎にして、それぞれ2名ずつを3つのカテゴリー(分裂気質、循環気質、神経症気質)に分けて特徴を抽出している。精神医学の本だが、科学者たちの生い立ちと性格、それに関連してどのよう科学上の業績を上げていくのかを描いた評伝としても上々の出来。天才とよばれる人々にもさまざまなタイプがあり、人生上の問題解決と科学上の問題解決がパラレルな関係にあるという指摘は興味深かった。2013/04/24