出版社内容情報
進歩の恩恵とその危うさに対し
内容説明
科学・技術の進歩が生活の隅々にまで浸透し、その恩恵を当然のこととして享受する一方で、進歩の危うさもクローズアップされ、問われている現代。そんな社会を生きる術として、科学記者である著者は、「カガク力」=「疑い、調べ、考え、判断する力」を一人一人が身に付ける重要性を説く。よりよい今、そして未来を築くヒントがここにある。
目次
1章 科学に囲まれた暮らし
2章 疑え!疑え!記者という仕事
3章 社会とつなぐ―科学コミュニケーションの可能性
4章 いのちを支える科学
5章 これから生きていくあなたに
6章 カガク力が身につく五つのコツ
付録 科学と上手につきあうためのおすすめ本
著者等紹介
元村有希子[モトムラユキコ]
1966年生まれ。九州大学教育学部卒業。1989年、毎日新聞社入社。2001年、科学環境部に異動。同部デスク、部長などを経て19年から毎日新聞論説委員兼編集委員。06年に第1回科学ジャーナリスト大賞受賞。科学コミュニケーション活動に力を入れ、富山大学、国際基督教大学などで教壇に立つ。講演、テレビ出演も多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
63
文系と理系に分けてしまう日本の教育制度が、科学を敬遠する風潮を生んでいるのだろう。専門的なことはわからなくても、科学とどうつきあっていくかということは、今や無視できないのではないか。著者も引用するように、「無関心は最大の敵」(ハンナ・アーレント)である。文系と理系が対立せず、お互いの分野へのリテラシーを持つことが大切だと思う。権威や空気に、そのまま従っていると、引き返せないところへ来てしまう。何よりもそれが恐ろしい。無条件に信じるよりも、まず疑いをもってみる。これは失礼というレベルの問題とはちがうのだ。2020/11/30
だのん
10
文中にあるように、科学や技術の進歩には必ず良い面と悪い面があるということを忘れてはいけない。長い時間をかけて研究や検証をして答えが見つかっても、また予想外のことが起きることもあるという。作者の言うとおり、何かを決断するときは多方面から情報を集めて、自分でしっかり考えていきたい。2022/05/20
かお
9
科学記者である著者が、科学を敬遠しないで!身近にある科学技術を分からないままで、放置してはいけないと訴えています。生活を便利にするし、それを生み出す科学者達ってすごいと前半は、ワクワクする面が書かれています。が、3·11の震災で原発事故が起こり著者は、自分が科学の応援団として発信してきたことは正しかったのか?と疑問に思い始めます。 ここから、科学を使う人間が未熟で、プラスとマイナス面をしっかり考えながら使わなきゃいけないと気付きがあります。 現状を疑って、考えて受け止める。大切な事を感じた本でした。2021/03/16
みーさん
6
AIにはじまってHPVワクチン、原発事故、似非科学、スタンプ細胞、不妊治療など、「カガクの光と影」。”文明社会の野蛮人”に考えさせられた。 元村有希子さん見たことあると思ったら「科学のミカタ」の見方の著者だった。巻末に科学と上手につきあうためのおすすめ本が付録として載せてある。2021/07/23
あんさん
4
知らないこと、分からないことは、ちっとも恥ずかしいことではない。自分の中の好奇心を制限しないことなのだ。(まあ、不用意に口に出すと馬鹿にされますが) 2020/12/10