出版社内容情報
キブンを表すのに最適なヴァーチャル方言は、リアル方言にも影響を与えている。その関係から、日本語や日本社会の新たな断面が見えてくる。
内容説明
関西人でもないのに「なんでやねん！」とツッコんだり、土佐出身でもないのに「～ぜよ」と言い切ったり。方言を演出的ツールとして用いることがＳＮＳやゲームを始め巷で流行中！そんなキブンをあらわす表現のリソースでもあるヴァーチャル方言は、リアル方言にも影響を与えています。その関係をつぶさに観察すると、日本語や日本社会の新たな断面が見えてきます。
目次
１章 そもそも「方言」って何だろう？
２章 「方言」がカワイイに至るまで
３章 「方言」に価値を見出す時代
４章 「方言」と「打ちことば」は相性がいい！
５章 「打ちことば」における「方言」の使われ方
６章 ヴァーチャル方言と方言ステレオタイプ
７章 テレビドラマとヴァーチャル方言
８章 ドラマにみる「方言」の変遷
９章 リアルとヴァーチャルの往還が開く新しい扉
著者等紹介
田中ゆかり［タナカユカリ］
１９６４年生まれ。神奈川県厚木市で育つ。読売新聞社勤務後、大学院進学。早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。博士（文学）。静岡県立大学国際関係学部講師などを経て２００６年度から日本大学文理学部教授。専門は日本語学（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
absinthe
182
地域性の方言と仮想方言（いわゆる方言コスプレ）について考察。60年代は方言の暗黒時代で、正しい学習とは標準語であり、地方からの状況者の方言は笑われたり県下の種になった。80年代からは方言の良さが認められ、それ以後は流行になる。ドラマの方言の変遷やネットスラングのような方言の用いられ方も言及。大阪弁は面白い、九州弁は男らしい、東北弁は素朴など、印象と方言の組のステレオタイプは、あえて利用されている。書き言葉と話し言葉の違いは深く考察してほしかったが。2020/04/23
yomineko＠猫毛まみれ
66
方言が大好き！ですので図書館で借りてみました。昔、と言っても昭和40年代頃までは方言を話すといじめられたとか😨信じられません💦同じ国の言葉なのに😡今は普通にラインのスタンプに登場する様々な方言。ＮＨＫ朝ドラの影響が大きいとか。うちなーぐち(沖縄語)やアイヌ語の復活はとても喜ばしいと思います。2022/01/02
あん
46
アニメやドラマ、SNSなどの演出ツールとして、その地方出身者ななくても敢えて方言を用いるのが「ヴァーチャル方言」だそうです。私も遠州弁を使いますが、ドラマで使われているのを見ると「いやいやそんなに訛ってないってば」と突っ込みたくなることもしばしば。その反面、使われていると親近感が湧いて嬉しくなります。本を読んで改めて気づいたのだけれど、標準語だけではなくて、テレビや本などの媒体でも、前より方言が多用されてきていますね。本当の方言よりもわざとリアルさを減らして用いるというのが興味深かったです2017/09/03
チャーリブ
41
「方言」と書いてある本を見ると食指が動く。というのは、自分自身が過去に方言の壁にぶつかったから。それは福岡の大学に入ったときで。九州全域の方言が集まってくる大学では、真剣に方言研究に取り組んだ（ホンマかいな）。本書によると、60年代までは「恥ずかしい」「隠したい」方言が、80年代に入って肯定的に評価され始め、最近では「ヴァーチャル方言」としてSNSなどで積極的に使われているという。しかし私のまわり（東京圏）では、関西弁以外の方言を耳にすることはあまりない。「方言萌え」はあくまでヴァーチャルな話？○2022/07/13
Porco
22
方言が、地域に伝わる土着の言葉から、方言ステレオタイプを利用するヴァーチャルなものへと変わってきた経緯を描いています。東京に出てきた地方出身者には面白いのではないでしょうか。2018/04/01
