内容説明
人間と動物の違い、恋する気持ち、本当の友だち、死と自殺、コミュニケーションって何?私ってだれ?―人間のもつ不滅のテーマについて、古代ギリシャから現代までの哲学者たちによることばを読みながら考え、「生きること」を哲学します。
目次
第1章 そもそも人間ってなに?動物ってなに?
第2章 恋する気持ち
第3章 ほんとうの友達?
第4章 人間が学ぶのはなぜ?
第5章 私ってだれ?
第6章 死を考える 自殺を考える
第7章 コミュニケーションはむずかしい?
第8章 そして、生きること
著者等紹介
左近司祥子[サコンジサチコ]
1938年東京生まれ。東京大学文学部哲学科卒、同大学院博士課程満期中退。東京大学助手を経て、学習院大学文学部哲学科教授。専門はギリシャ哲学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ehirano1
77
「生まれてから今日まで、ずっと一緒だった体です。黙って私を支えてくれた体です。それなのに、黙って支えてくれるのを当然だと思い込んだばかな、私の心でした。もう、今に至る長い無視の時間を償いようがないなら、せめて意見を聞いてみてもいいのではないですか・・・意見を聞かれていない、だから言いなれていない体です。すぐに大声で何かを主張することはないでしょう。私としては、静かにじっと声が聞こえてくるまで待っているべきです(p136)」。そうですね、そうですよ。当方の体よ、今までゴメンナサイ。2021/04/08
ehirano1
75
「恋する人は屍である(p24)」。なんと身も蓋もない、と思いましたが、p26からの解説とその理論構築には唸らずにはいられませんでした。実に興味深いです。2021/12/16
ehirano1
65
「・・・物を作るのは人間だけではありません。手がなくても、鳥はくちばしを使って巣を作ります。猫だって、口とか足をとかを総動員して生床を作ります。ただ、人間はそういったものを作り出すための道具も作るのです(p11)」。なるほどなるほど。『道具も』というところがミソですね。2022/11/24
ehirano1
65
「・・・りんごが落ちるのを見ていた人は大勢いるのになぜニュートンだけが万有引力にまで行き着いたかのかといえば、それは、もちろん彼の才能の問題もありますが、いつもいつも、のちに『万有引力』という形で実を結ぶ事柄について考えていたからでしょう。これが、集中しているということなのです(p183)」。一理あります。加えて、ここまで集中を続けることができるのも才能であるとも言えるのではないでしょうか。しかもこの才能は後天的に獲得可能だと思います。2020/08/13
ehirano1
61
「コミュニケーションが簡単にとれるはずだと思い込んだのは、小さいときの家庭の気楽さが心の中にあったからです。でも、あの気楽さは、古参者の、多大な努力によるものでした。そもそもコミュニケーションは、普通では、無理なことです。その無理をどのくらい崩せるかの勝負だけなのです・・・コミュニケーションは恋愛と同じです。相手の眼になるというところが大事なのです(p159~160)」。超納得且つ説明が上手過ぎ!部下の指導に使わせてもらいます。2019/12/08