出版社内容情報
適応化,自然淘汰,遺伝子の組み替えや,オス・メスの性差,配偶をめぐる競争などについて,進化生物学の最新の成果にもとづいて豊富な具体例を引きながらやさしく解説,なぜ「進化」が起こるのか,そのメカニズムの謎にせまる.
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本屋のカガヤの本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
テツ
24
生きるために。ただ存在するために。遺伝子を残すために。それらを行いやすくするために全ての生物は進化を続けてきた。この地球上で誕生し滅びていった数限りない生物が自らの種の存続のために、その悲願を叶えるためだけに試行錯誤を繰り返しながら代を重ねてきた。生命が在り続けようとする意味なんてきっと僕たちには永遠に解らない。でも自分の存在理由について悩むときにふと自分へと存在を繋げようとしてきた無数の生命の力を思うと、ただ生きるために生きるというシンプルな目的を成し遂げるエネルギーが漲ってくる気がする(単純)2019/08/27
白義
21
進化には、決まった方向も目的もない。生き物が環境に適応するのも最初からそうなりやすいわけではなく、遺伝子の変異のほとんどは特に意味のないものだ。だからそこらのダニと人間でどちらかが優れているということもない、と、何か人間に都合のいい教訓を読み取るのは不可能なほど冷厳たるただのプロセス。早い話がたまたま上手くいった偶然の集積でしかないこの進化という概念が、しかし生物学全てを貫く根本原理でもある。本書は具体的な生き物の生態を豊富に詳細に挙げながら、種分化や性分化の仕組みを分かりやすく紹介した優れた入門書である2015/12/19
綾
20
化学、物理が苦手だったので、高校では生物を選択。覚えることばかりで、全然面白くなかった。こういう本を読めば良かったなあ。主に自然淘汰と適応について、分かりやすく書かれている。最後の章では進化の考えがどのように発展してきたのかコンパクトにまとめられている。2020/01/04
色々甚平
11
進化生物学の入門書。中心は著者の専門である動物がメインに語られているが、なぜ雄と雌に別れる必要があったのか?や一般的に思われている進化というものへの誤解を解く話など唆られる話だらけだった。進化=進歩でもなく、自然淘汰の意味も勘違いしていた部分など見直すこともできた。中立説については見事についていけなかったが、ほとんど優しく書かれているので身構えずに読むことができた。ローレンツの「攻撃」も今では研究され間違いであったとされているのも学問として発展してるんだなぁと感じる一文だった。2015/12/03
gerBera.m
8
進化って、寒いのに合わせて寒さに強くなるとかではなく、ランダムに進化した動物や植物が現れて、その中で自然淘汰されて生き残ったものが、結果として適応している個体であった、という話がもっとも心に残る。自然淘汰恐るべし。ということは、身体的にも精神的にも適応できなかったら消えていくのは自然の摂理であり、逆らって生きようとするから辛いのかもしれない。なんて考えた。読むなら、中学生か高校生から。2022/03/03