出版社内容情報
アフリカで生まれ、二足歩行を始めた人類は、空いた手で荷物を運び、世界にちらばっていった。この〈運ぶ〉という能力こそが、ヒトをヒトたらしめたのではないか? アフリカ、ヨーロッパ、東アジアの三つの地点を比較対照し、〈運ぶ〉文化の展開と身体との関係を探る。人類学に新たな光を当てる冒険の書。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬弐仟縁
26
写真図解多数にして文字大きめ。高校世界史副読本にも重宝。ヒトはアフリカで生まれ、世界にひろがった(2頁)。猿人骨は9頁の地図では東3国、チャドに南アで発掘。現代では、エボラ出血熱が世界に拡散。運ぶヒトをしてホモ・ポルターンスと称する(7頁)。‘36年モースが身体技法を提唱。運搬、道具、住居の技術面の研究は手薄(54頁~)。 ’27年ボアズは北米北西部のトーテム・ポール政策で細部が一様なのは、彫刻者の運動習慣に保証されていると解明(56頁)。身体技法は地域による異なるヒトの身体特徴。2014/12/20
kuukazoo
11
頭上運搬つながりで。二足歩行を始めたヒトは手だけでなく体の他の部分も使ってものを運び、生活圏を拡大してきた。どんな運び方をするかは体型や土地によって様々だけど、共通点もある。前頭帯というおでこに帯をひっかけて運ぶやり方はアイヌや南西諸島、雲南少数民族、中南米で多い。天秤棒運搬はアジアではメジャーだけど他の地域ではあまり見られない。全体的に系統的というより話があちこちに飛んでちょっととりとめない感もあるけどたくさんの運ぶヒトの姿が見れて楽しかった。2024/04/15
Uzundk
9
ヒトと動物の違いは何か、著者は物を「運ぶ」能力だという。この運ぶと言うことから身体と物との関係が深まった。著者は身体と物の関係を3つのモデルで分ける。A.道具の脱人間化 = 誰が扱っても同じような結果が出る、あるいは人力を省く方向。B.道具の人間化 = 単純な道具を人間の体のように使いこなすこと。C.人間の道具化 = 人間の体の特徴を生かして道具的に扱うこと。今の私達の身の回りのほぼ全ては何かの道具だ、その形式や作法は身体をどう扱うかという文化を背景にしているというのは言われるまで意識をしていなかった2016/07/26
Sugi Takahiro
9
人類の起源であるアフリカでは頭にものを乗せて、子供を背に抱えて長距離を移動する。アフリカ系は骨盤が前傾していること、四肢が長いことからものを頭に載せたり前屈して農作業するのに適している。 西洋人は重心を高めにして、籠を腕に下げたりおなかの前に張って運搬する。文化的にも腕の伸長(ボクシングやフェンシング)とハイハイを是としない風潮があった。 東洋人は骨盤が後傾し、蹲踞や正座が寛ぐ姿勢となり、シンプルな道具でバランスを支えるのが得意。 人種ごとの体の特徴からものの運び方、引いては身体技法まで考察した良本。2016/03/17
紅りんご
6
記念すべき、私の初人類学の本!なるほど。こうやって比較していくのか。やはり方向性はあってると感じた。もう少し突き詰めたい。アフリカ、興味あるなあ。2016/01/27