内容説明
泉鏡花、鈴木大拙、西田幾多郎など日本を代表する文豪や思想家、金箔や加賀友禅、和菓子など代々受け継がれてきた職人技術、そして金沢21世紀美術館など新たな文化の発信地…。金沢で生まれ育ち、まちづくりに長年携わってきた著者が、金沢のまち、歴史、文化を歩きながら、その奥深い魅力を余すところなく伝える。
目次
第1章 金沢のまちを歩く(金沢のまちなみ;金沢駅周辺から武蔵ヶ辻、近江町市場へ ほか)
第2章 金沢の歴史を歩く(前田利家にはじまる加賀藩;前田家を支えた女性たち ほか)
第3章 職人のまちを歩く(歴史に息づく手仕事;金沢箔、加賀友禅など多種多様な伝統工芸品 ほか)
第4章 人とまちの暮らしを歩く(福祉とともに;福祉と教育から地方自治を問う ほか)
著者等紹介
山出保[ヤマデタモツ]
1931年、金沢市の小立野台に生まれる。1954年に金沢大学卒業、金沢市役所に入る。87年、金沢市助役に就任。90年、金沢市長に初当選し、5期20年在職。この間、2003年6月から全国市長会会長を2期4年つとめる。2013年、石川県中小企業団体中央会会長に就任。2000年に日本建築学会文化賞、2005年に日本都市計画学会石川賞を受賞。2010年にフランス共和国レジオン・ドヌール勲章シュバリエ章を受章(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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アキ
73
元金沢市長による紹介本。前田利家から3代で金沢の基礎を作る。元は親鸞の教えによる百姓の共和国だった。金沢の地名の由来は「金洗いの沢」。3つの台地と2本の川。25本の坂がある。金沢城が大火により焼失したため辰巳用水を造営する。伝統工芸は加賀友禅・九谷焼・金沢仏壇・金沢箔・金沢漆器・加賀縫の6種類もある。美しい景観を目指し、鞍月用水の蓋を取り外し「見える用水」にした。400年間戦禍に会わなかった奇跡の町。金沢はサンジャのまち医者・芸者・哲学者とは永井道雄氏の言葉。東京に江戸文化は見えぬが、金沢には文化が残る。2020/07/29
壱萬弐仟縁
33
能楽:加賀藩が武家の たのしみ(傍点)として保護育成を図り、加賀宝生として庶民の間に広まった(39頁)。むずかしくとも辛くとも金沢は歴史に責任を持つべきまち(102頁~)。職人はひたむきに働く。信用されればトコトン応える。生き方として行動と姿で示す(109頁)。創造都市:創造的文化活動が革新的産業活動と連関、まちの活性化を実現する都市(133頁)。金沢市の金沢の食文化の継承及び振興に関する条例(’13年制定、142頁)。善隣館:社会事業、福祉施設で隣保事業と同じ(172頁)。2015/05/20
まると
30
元市長による一冊丸ごと金沢の紹介本。私のような金沢初心者には、とても勉強になる入門書でした。景観重視などによる中心部のにぎわい創出、歴史的建造物の保存や斬新な文化施設の整備に努めた結果、他に類を見ない魅惑的な都市になったと自賛しています。故郷が本当に好きなんだなと文章の端々から感じ取れます。ちょっと歩いただけでもまちに魅力を感じたのは確かだが、著者の市政の方向性が正しかったからそうなったのだと素直に受け止めて良いものか、難しいところではあります。各所をもっと歩いてみて、もう一度この本に戻ってみようと思う。2023/06/21
メタボン
23
☆☆☆★ 高校生の頃無性に金沢に憧れ、当時は城郭の中にあった金沢大学も受験した。第1志望校の方を選択したので、金沢大学には入学しなかったが、入学していればきっと人生は今とは大きく異なっていたのだろう。その後、金沢とはほど近い富山に3年半ほど住むことになったのも、何かの縁と思われる。何度金沢に足を運んだことか。この本は金沢に関して大まかに理解するには良いと思う。金沢の成り立ちについての記述が大半を占めるので、観光ガイドとは趣を異にする。伝統工芸に対しての取り組みに共感できる。著者は元金沢市長。2015/12/01
ほっしー
20
前金沢市長である著者が金沢の文化や歴史について書いた本。金沢は戦火を逃れたため、昔からの建物が多く残っているそうだ。観光地を巡るだけでも楽しいのだけど、その歴史や背景を知識をして少しでも持っているとより理解が深まるなあと改めて感じた。最も印象的だったのは地名の話。地名はその土地の歴史や自然的背景を映し出すもの。一度は消えたものの復活した地名もあるとのこと。地名に注目しながらの街歩きも良いかもしれない。2018/01/11