出版社内容情報
手漉きの和紙を用いて作られた本を和本という。和本は近代以前の日本文化を理解するための最大のインフラであり、歴史上の時間にもどるための唯一のツールである。その和本の歴史や作り方、出版事情などの基礎知識をていねいに述べながら、変体仮名を読み解くことをはじめ和本リテラシーの重要性を説く。
内容説明
手漉きの和紙を用いて作られた本を和本という。和本は近代以前の日本文化を理解するための最大のインフラであり、歴史上の時間にもどるための唯一のツールである。和本の歴史や作り方、出版事情などの基礎知識をていねいに述べながら、変体仮名を読み解くことにはじまる和本リテラシーの重要性を説く。
目次
はじめに―いま、なぜ和本か。そして変体仮名のすすめ
第1章 江戸の出版事情
第2章 和本には身分がある
第3章 和本のできまるで
第4章 和本にはどんな本があるか
第5章 海外の和本事情
著者等紹介
中野三敏[ナカノミツトシ]
1935年福岡県に生まれる。1964年早稲田大学大学院修士課程修了。専攻、江戸文学。現在、九州大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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mitei
32
たしかに昔の人の書いた字って私もそうだし現代人の殆どの人が読めないなぁ。こういう本を読むことで昔の人の感覚もわかりやすくなるなぁ。2011/12/08
壱萬弐仟縁
14
23頁、本屋の誕生。1600年頃、京都を皮切りに、ということである。別名、書林、書肆(24頁)。書物は高価(32頁)。それは今も同じである。特に専門書。実用書以外は自費出版(65頁)。私も次はまた自費出版かな。どうも値段がつくのは部数を売る自信がない。美術史の中では、絵本や画布は研究が遅々としているのは知らなかった(174頁)。加速させるには、史料の整備や発掘以外ない。地元学と共に、お宝を発掘しなければと思った。洒落本は天明期に発展したという(222頁)。和本の国際的研究が求められるのだろう。2013/08/10
tunehiro
10
たかだか2、300年前の文書を読むことすらままならない「和本リテラシー」の欠如は、文化の歴史的途絶に他ならない。現代に引けを取らない多様な文化を誇った江戸文化に、ストレートなアプローチを望めない日本人は、今こそ和本リテラシーを取り戻すべきなのだろう。2012/01/25
isao_key
8
江戸時代まで日本では本とは和紙を二つ折りにして、紐でとじた和本であった。和本は江戸時代そのものを示す遺物である。和本を読み、理解するには変体仮名や草書体漢字を読みこなせるようにならなければならない。しかし現在この自国の古典を、古典語のままで読みこなせるのはほんの数%しかいない。また読まずに済んでいる現状に、これでいいのかと著者は疑問を投げかける。確かに日本人は自国の古典を原文で読むという訓練をずっと怠ってきた。日本には和本の資料がまだ大量に残されている。優れた文化遺産を生かすためにも幼少時から教えるべき。2014/10/18
すぎやん
6
和本リテラシーを身につけたいと思った。著者の言うとおり,高々200年前に出版された自国の本が読めないというのは憂うべき状況なのだろう。文化の身分制についての議論は興味深い。2013/12/02