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岩波新書
ルポ 雇用劣化不況

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  • サイズ 新書判/ページ数 230p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784004311812
  • NDC分類 366.021
  • Cコード C0236

内容説明

大幅な人件費削減で不況を乗り切ろうとする日本企業。規制緩和の後押しも受け、いまや労働現場は激変している。過酷な労働と不安定な生活を強いられる非正社員、目先のノルマに追われる正社員…。劣化し続ける雇用は企業の力を奪い、さらなる不況をもたらしている。丹念な取材で今日の雇用の実態を浮き彫りにし、解決の糸口を探る。

目次

序章 賃下げ依存症ニッポン
第1章 津波の到来
第2章 労災が見えない
第3章 しわ寄せは「お客様」に
第4章 「公」が雇用をつぶすとき
第5章 「名ばかり正社員」の反乱
第6章 労組の発見
終章 現実からの再出発

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

kinkin

23
人件費の削減は企業の収益を上げ不況を乗り切る一番の手段となった。法改正で非正規雇用が増加し、残った正規雇用者には成果主義による事実上の賃下げそしてリストラが押し寄せる。高齢化社会の日本にとって国を支えていくはずの若者達に職がなく、あっても低賃金、その状況の中では年金や保険の未来に明るさは見えてこない。雇用とはなにか、どうあるべきか、現在の問題は何か、多くのことを考えさえられた1冊。2014/03/16

壱萬弐仟縁

14
賃下げでは、これからのスタグフレーションに耐えられない人がますます、増える。そして、シェアハウス、脱法ハウスの場合、2畳部屋でネズミも出る、と今朝の生島ヒロシのおはよう一直線(本日で4000回記念とのこと、おめでとうございます)では指摘されていた。まったく、生存権侵害も甚だしい。仕事が切れたら住まいも失う(14頁~)。リーマンショックで年越し派遣村が台頭せざるを得なかったのは記憶に新しい。キャノンの非正規雇用者も経団連の御手洗氏から理不尽を押し付けられた(30頁)。僕も派遣登録は4社で、稼働は3社が実情。2013/08/05

Nobu A

10
長引く不況で国内の正社員数が減り、その分非正規雇用増加。企業に限らず、自治体職員にも広がり、丁寧な聞き取りからその個人体験を描写。痛々しさと共に無力な行政や人の労働力を簡単に代替可能だと考えている雇用主に憤りを感じる。専門家の意見に加え、各地で新規労働組合の増加、デンマークを例に挙げ、海外での取り組み等も紹介。歴史的背景も含め、いかに全国に雇用劣化が進んできたか俯瞰。ただ、解決策として「労組や勉強会等の人のネットワークを基盤に、・・・丹念な話し合いを始めること」はあまりにも抽象的。構造的問題の処方箋無し。2018/01/22

けんとまん1007

10
雇用劣化という言葉は初めて目にしたのだが、その意味がよくわかる。そして、それが不況にいたる要因の一つでもあるということも。人はやはり感情の生き物でもあるし、限りある肉体を持っている生き物でもある。が、根本的に、そこを無視している人たち、無視できる人たちが、自分を安全な場所におけるからこそだと思うが、このくにを動かしていることに根っこがある。偶然、昨日、経団連の会長が政治家を税金の無駄使いみたいなことを言っていたが、経営者達もほとんど同じだ。そんなことも、考えさせてくれる1冊。2011/02/22

pom

8
息苦しくなるような悲惨な実話が淡々と載っていた。残業代の未払いを指導した2004年の労基署に対する経団連の批判「規制的な指導は労働者の自律的、多様な働き方や生産性向上、日本企業の国際競争力の維持、強化の阻害要因」という文言に唖然とした。会社の為に人は犠牲になって当然と思ってるんだね。いやーなんでこういう思考になるか不思議。ご恩と奉公?勤勉、勤労が素晴らしいという教え?頑張れば出世できるという幻想?忠誠心?不満や自分の意見を言うことはワガママ。協調性が大事。日本の道徳教育が人より経済第一な社会を支えてる気が2015/05/16

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