内容説明
秀吉による文禄・慶長役(壬辰倭乱)の後、国交回復や被虜の送還を目的として、江戸時代初めての朝鮮通信史が来日してから今年で四〇〇年になる。外交関係を担った対馬藩や雨森芳洲、新井白石のこと、旅程と饗宴の実態、文化人の多彩な交流などを描きながら、一二回に及ぶ通信使の今日的意義を考える。
目次
序章 東アジア世界の再編と壬辰倭乱(文禄・慶長役)
第1章 国交回復への道
第2章 「通信使」の登場と徳川大君
第3章 「ご威光」と対等外交のはざまで
第4章 通信使を迎える
第5章 文化交流の諸相―受容と発信のこころみ
終章 多文化共生をめざして
著者等紹介
仲尾宏[ナカオヒロシ]
1936年京都府に生まれる。1960年同志社大学法学部政治学科卒業。京都造形芸術大学客員教授。専攻、前近代日朝関係史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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だまし売りNo
7
朝鮮通信使は朝鮮王朝が江戸幕府に派遣した外交使節であり、日韓の平和構築と文化交流の歴史として、貴重な記録が残っている。「朝鮮通信使に関する記録-17世紀~19世紀の日韓の平和構築と文化交流の歴史」は2017年10月にユネスコ「世界の記憶」に登録された。ユネスコ「世界の記憶」は世界的に重要な記録物への認識を高め、保存やアクセスを促進することを目的とする。2021/01/09
sine_wave
5
本年、ユネスコの世界記憶遺産に登録されることに決まった「朝鮮通信使に関する資料」のニュースを聞き、本書に目が行った。「はじめに」で江戸時代は日本は鎖国をやっていないとしている。その証拠に、江戸時代12回にわたって、我が国に朝鮮通信使がやって来ている。本書はその様子を細かに著している。日韓関係に目を開かせてくれる好著と思う。2017/11/23
富士さん
2
再読。通信使のエピソードも面白いですが、江戸時代の日本外交の実際がとても興味深かったです。天皇・朝廷の存在によって複雑化する外交の主体の問題やそれによって生まれる大君号をめぐるいざこざ、「栁川一件」や財政事情で変化する外交実務の運用。末期に至って惰性として固定化する「鎖国」概念など、外交のダイナミックさがしっかりと描かれています。この時代を極端にスタティックに描くことは、この時代の人々の努力を過小に評価することによって、自分の人生を昔の人よりも意義あるものとして描こうとする自時代中心主義だと思うのです。2016/07/29
tohoho
1
秀吉の慶長・文禄という侵略戦争により、歴史に大きな汚点を残すも、家康が国交回復させ、その後の200年余りの間に12回の訪日実績を残す。その背景には、対馬藩の苦悩、沿道の諸藩の多大な出費のもとに形成されている。2015/05/04
陽香
1
200709202013/10/10