内容説明
『万葉集』にもスタミナ食として登場するほど古くから愛されてきたウナギ。日本は世界の七割を消費するが、世界的には資源の急減が危ぶまれ、ワシントン条約で規制されるまでになった。不思議な生活史、養殖とシラスウナギ・ビジネスの実態、欧州での資源管理の試みなどをレポートし、グローバル化時代の食と環境を考える。
目次
プロローグ ウナギを通して見えるもの
第1章 ウナギという生き物
第2章 産卵場所の謎を追う
第3章 ウナギを増やせるか
第4章 欧州では絶滅危惧種?
第5章 日本のウナギも減っている
第6章 ウナギと日本人
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
48
人間の欲望ゆえに数を減らし、また試行錯誤の末に繁殖の道を探られる。人はどこまで自然をコントロールしていいのだろう?2016/01/28
Arisaku_0225
16
海で産まれ数千kmの旅路の後日本各地の川で成長しまた故郷の深海へ戻る特異な生活史を辿るウナギは今絶滅の危機に瀕している。本書はそんなウナギとは何か?何故ウナギは絶滅の危機に瀕しているのか?という現状をよく纏めている。特に日本と海外との研究の違いとして、日本では養殖技術のテーマや生活史でトップを走っているものの資源や保全というテーマでは周回遅れであることを指摘している。日本人によって絶滅の危機に瀕しているといっても間違ってないとは必ずしも言えない事実がある中で、である。出版から15年程経つが危機は危機のまま2023/10/09
chanvesa
12
夫婦でうなぎを食べるのは年に一回と決めている(うなぎ屋さんには申し訳ないけど)。この本で終わりに出てくるように日本人はうなぎとの付き合い方を間違えている。まぐろだってそうだし。海洋資源をめぐる海外との議論は別にして、贅沢しすぎはありがたみがなくなっちゃう。岡山にむかし旅行に行ったときに見たカブトガニ博物館で、カブトガニはなんかの医薬品になる成分があって増やしたいが、天然ものは環境が汚くて増えないし、生態も謎で増やせないとのこと。人間に都合で生き物がいるわけじゃない。うなぎも同じ。2014/04/20
壱萬弐仟縁
9
シラスウナギは白いダイヤ(4頁)。小学校の国語の教科書にウナギの話が載っていたな。ヨハネス・シュミット博士がウナギ研究の父とのこと(46頁)。僕の亡くなった祖母は、幼いころ、木曽川のウナギを食べて育ったので、90歳ぐらいでも確か、入れ歯ではなく、自分の歯で丈夫だったと話を聴いていた。それも今は昔だな。アメリカ建国期でも、ウナギは重宝がられ、入植者は川の牛肉とも称したようだ(113頁)。世界最大のウナギ市場は間違いなく日本(131頁)。町のウナギ屋は潰れたな。あんだけ値段が高いので食えるのは役人だけだろう。2013/08/05
文章で飯を食う
7
わずか2〜30年で種を絶滅の危機に追い込む程の、日本人の行動様式は恐怖ですな。この本の数年後には、産卵場所も特定されたが、養殖技術はどこまで進んだんだろう。とりあえず、ほんの少し前の、ウナギは贅沢品のスタンスに戻ることだな。2016/02/20