岩波新書
ベースボールの夢―アメリカ人は何をはじめたのか

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  • サイズ 新書判/ページ数 220,/高さ 18cm
  • 商品コード 9784004310891
  • NDC分類 783.7
  • Cコード C0236

出版社内容情報

20世紀への転換期、開拓フロンティアの消滅と都市化の始まりに機を同じくして、ベースボールは成立した。当時、衰退の波にさらされていたミドルクラス白人の不安を癒す「夢」として、数々の神話や幻想を織り込みながら作られた壮大なスペクタクル。そこに託されたものは何だったのか? 豊富な図版とともに分析する。

内容説明

二〇世紀資本主義への転換期、開拓フロンティアの消滅や都市の時代の始まりを背景として、ベースボールは成立した。当時、衰退の波にさらされていたミドルクラス・白人男性の「夢」として、数々の神話や幻想を織り込みながらつくられた、壮大なスペクタクル。アメリカ人はそこに何を託したのか?豊富な図版とともに読み解く。

目次

第1章 ベースボールの起源と神話(将軍、アブナー・ダブルデー;イギリス生まれか、アメリカ生まれか;起源の不在、起源の永続;ベースボールの幼年時代)
第2章 ニューヨーク・ゲームの覇権―ルールの進化と都市の欲望(最初のゲームをめぐって;ルールの変遷―ゲームの進化;都市の政治学)
第3章 愛国主義の虚実―ビジネスとしてのベースボール(アメリカ人の生の様式;図像の虚実;ナショナル・ゲームの虚実;ビジネスの時代)
第4章 ミドルクラスと肉体の幻覚―男性的なスポーツの発見(男性的なスポーツ;ミドルクラスと「男性性」への執着;資本主義と「肉体」の幻覚;観客のまなざし、観客の時間)
第5章 都市のファンタジー(田園のアメリカ;スモールタウンの幻像とベースボール;人性の陶冶;群集への社会科)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

にゃん吉

2
ダブルデーがクーパーズタウンで始めたのがベースボールの起源であるという「神話」の話から、タイ・カッブ、ベーブ・ルースといったスター選手が誕生する辺りまでを辿り、社会学的観点から、アメリカにおけるベースボールの誕生、発展の過程を分析する一冊。アメリカ社会の変容(資本主義の高度化、ミドルクラスの衰退、大衆の誕生、都市の勃興、スモールタウンの自律性消失等)の中で、ベースボールに、誰が、いかなる価値(愛国主義、ビジネス、肉体性等)を見出し、受容したか(幻像を共有したか)が叙述されており、興味深くありました。   2023/03/12

samandabadra

1
take me out to the ballgame2009/05/19

えすの

1
1920年代までのMLB。資本主義、能力主義のアメリカは他者を淘汰しなければいけない。そのための男性像がタイ・カッブには投影されていた。選手の記号がそのまま社会を投影していた点はポイント。コカ・コーラとカッブが関係してたとは初めて知る。MLBの能力至上主義に限界きたのがPED問題だし、じゃあ今のアメリカでどういう選手像が受け入られているかは、社会と鏡ような関係にあるのだ。2016/01/08

nrk_baby

1
この人の講義とってるけど、本も講義も面白い2012/07/04

清田

0
★★★☆☆ アメリカ国内におけるベースボールの起源をめぐる過程、発展・拡大に伴うルールなどの変化、求心力を得たスター選手(タイ・カッブとベーブ・ルース)から、19世紀後半から1920年代におけるアメリカ資本主義社会の変容、価値観、情勢を読み解く。題名に「夢」を冠しているように、そこには虚実や幻影も入り混じっている。それでもなお関係者をも含め、社会的に求め、受け入れているのが最大の特徴。ルースが歴史的人物たる所以が分かる力作。しかし後半は、同じような記述の繰り返しが目立ってくるので少しつらい。2023/04/10

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