岩波新書<br> 沖縄密約―「情報犯罪」と日米同盟

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岩波新書
沖縄密約―「情報犯罪」と日米同盟

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  • サイズ 新書判/ページ数 220p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784004310730
  • NDC分類 319.105
  • Cコード C0236

出版社内容情報

沖縄返還の裏には密約が存在した。核持ち込み、基地自由使用、日本側巨額負担・・・。かつてその一角を暴いて「機密漏洩」に問われた著者が、数々の米公文書や証言をまじえてその全貌を明らかにし、今日の歪んだ日米関係を考察する。

内容説明

日米の思惑が交錯した沖縄返還には様々な「密約」が存在したことが、近年相次いで公開された米公文書や交渉当事者の証言で明らかになってきた。核の持込み、日本側の巨額負担…。かつてその一角を暴きながら「機密漏洩」に問われた著者が、豊富な資料を基に「返還」の全貌を描き、今日に続く歪んだ日米関係を考察する。

目次

第1章 「沖縄返還」問題の登場―その背景と日米の思惑(池田から佐藤へ;ベトナム戦争と沖縄返還;ジョンソンからニクソンへ)
第2章 核持込みと基地の自由使用―交渉とその帰結(1)(明かされた核密約;基地の自由使用と事前協議の空洞化)
第3章 財政負担の虚構―交渉とその帰結(2)(米資産買取りの内幕;闇の主役と秘密合意;つかみ金、二億ドルの使途;追加された二つの密約)
第4章 変質する日米同盟(安保共同宣言と新ガイドライン;日米軍事再編)
第5章 情報操作から情報犯罪へ(密約を生む土壌;秘密体質の形成;情報犯罪は続いている)

著者等紹介

西山太吉[ニシヤマタキチ]
1931年、山口県に生まれる。慶應義塾大学法学部卒、同大学院修士課程(国際政治学専攻)修了後、毎日新聞社に入社。経済部を経て、政治部記者として首相官邸、自民党、外務省などを担当。1972年、沖縄の施政権返還にからむ密約取材をめぐり、国家公務員法違反容疑で外務省の女性事務官に続いて逮捕された。一審で無罪(事務官は有罪、控訴せず確定)となったものの、二審で逆転有罪、1978年、最高裁で確定(懲役4ヵ月、執行猶予1年)した。一審判決後に退社し、福岡県北九州市の西山青果株式会社に勤務、1991年、退職。「密約」を裏づける米公文書などの報道が相次ぐ中、2005年、謝罪と損害賠償を国に求めて提訴した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

skunk_c

49
著者の訃報に接し再読。有罪判決によりジャーナリストとして生きる道を絶たれたが、その執念は密約に関する新事実が出て、著者が民事裁判を提起した2005年まで枯れることはなかった。そして何より胸に刺さるのは、沖縄の現実もさることながら、政府が「国民」に平気で嘘をつく姿勢に対し、「憐れむべき政府をもっている」との言葉だ。ここには政府に対する批判とともに、そうした政府が生きながらえる現実、つまりきちんと批判できないメディアと、関心の薄い有権者に対する警鐘と受け取った。挙げ句の果てが半年国会に出ない議員かもしれない。2023/03/07

skunk_c

27
10年前の本で、当時パラ読みしたものを精読。世紀の密約告発をスキャンダルにすり替えられた上に刑事裁判で敗訴、ジャーナリストからはき出された著者にとって、アメリカの情報公開、そして当事者である外務官僚の告白を受けて黙ってはいられないだろう。それも自己の名誉回復よりも、真実を明らかにすることについて。まさに国家、政権を担う政治家の犯罪ともいうべき内容であり、また、外交面でアメリカのほぼ言いなりになるという、現在も続く「対米従属」のケーススタディとして、最大級のもの。広く知られるべき。現状分析も鋭い。良書。2017/07/30

funuu

16
安倍首相の叔父さんにあたる佐藤元首相は世界で初めて武力によらず交渉で領土=沖縄をアメリカの占領から取り戻した功績でノーベル平和賞を授与されている。今の人はほとんど知らないだろう。その過程の密約を毎日新聞がスクープした。その相手が外務省の女性であり国家公務員法違反で2人とも逮捕された。当時のことは何となく覚えている。アメリカの公文書公開で全容が解明されたストーリー。2019/02/02

coolflat

9
総裁三期目の佐藤栄作は最後の任期を締めるべく核抜き返還にこだわり、米側はそれを駆け引きの材料に利用する。米側の最重点目標は、米軍基地の従来通りの自由使用の維持にあり、核抜きの対応は自由使用を勝ち取るための役割を果たす。その他、米側は財政負担をも日本政府に要求するが、対米コミットをそのまま国内に説明すれば、大きな摩擦と軋轢が起こるので、それを回避するために数々の密約が結ばれ、条約が捏造される。密約を結ぶにあたり、正式なルートを使わず、密使を使い裏工作したことが、後の情報隠蔽ならぬ情報犯罪を引き起こしている。2014/01/10

加藤久和

8
沖縄密約に関する議論から日米同盟論を経て日本社会論的な議論へ至る。少々的が絞りづらい本ではあるが、国家と真正面で対決してきた著者の指摘だけに鋭く正鵠を射ていると思う。「沖縄密約」は過去にあった事件なのではなく正に現在進行中の国民的な政治問題なのである。「沖縄密約」で形成された日米の圧倒的に不平等な力関係と立ち位置は今なお温存され、辺野古の基地建設や在沖海兵隊のグアム撤退などにあたって日本は秘密裡に莫大な費用を肩代わりさせられる可能性が高い。毎度見慣れたこの光景を私達日本人は振り払うことができるのだろうか。2016/03/10

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