内容説明
現代の日本語はどのようにして出来上がってきたのだろうか。やまとことばと漢字との出会い、日本語文の誕生、係り結びはなぜ消えたか、江戸言葉の登場、言文一致体を生み出すための苦闘…。「話し言葉」と「書き言葉」のせめぎあいからとらえた日本語の歴史。誰にでも納得のいくように、めりはりの利いた語り口で、今、説き明かされる。
目次
日本語がなくなったら
1 漢字にめぐりあう―奈良時代
2 文章をこころみる―平安時代
3 うつりゆく古代語―鎌倉・室町時代
4 近代語のいぶき―江戸時代
5 言文一致をもとめる―明治時代以後
日本語をいつくしむ
著者等紹介
山口仲美[ヤマグチナカミ]
1943年静岡県生まれ。お茶の水女子大学卒業、東京大学大学院修士課程修了、文学博士。埼玉大学教授。専攻、日本語学(日本語史、擬声語研究)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kaizen@名古屋de朝活読書会
172
日本語を考えるきっかけとして有効な情報を得られた。 新書は専門書ではないので、手軽に読めることが大事。古典を解読して、読みやすく書き直しただけでも、著作権の関係さえ奇麗になっていれば問題はないと思います。 個々の学説のうち、どれを採用したかが参考文献で明らかになっていれば、学術的に低い説を採用しても構わないと思います。 明治時代に、日本が英語に漢字を宛てて変換していった作業を、中国で羨ましく思っていたという話をお聞きしたことがあります。http://bit.ly/10CJ7MZ2013/06/27
trazom
111
普段あまり意識しなかったけれど、改めて「日本語の歴史」を考えるいい教材だと思う。独自の文字を作るか、漢字を借りるかと悩んだ奈良時代。万葉仮名からカタカナ・ひらがなの誕生へとつながる平安時代。和歌的な係り結びを拒否し、主語を示す「が」によって論理的思考を目指した鎌倉・室町時代。近代語の語彙や発音が確立した江戸時代。そして、漢字カナ交じり文と言文一致に到達した明治時代。偉い大学教授なのに、ときどき「まあ、聞いてください」という合いの手が入る著者の軽妙な語り口に乗せられて、言葉の進化を辿る楽しさを満喫した。2022/03/16
佐島楓
69
日本語の変遷を、とても丁寧に、しかも平易なことばで解説している。著者が広い年代の読者に言語学のもつ面白さを伝えようとしている、その姿勢が素晴らしかった。格別古典文学に興味がなくても、目から鱗の発見がきっとあるはず。2016/11/18
さくらさくら
63
これは良書です。日本語の??が分かりやすく書いてあって、「あ!そうなんだ!」って箇所が幾つもあった。オススメです。2020/12/18
サンタマリア
46
今僕たちが話している日本語がどのような道筋を歩んできたのかが分かる面白い本だった。武士が好んだ言葉、江戸時代のなぞなぞによって解き明かされた発音といった意外な着眼点から日本語の歴史を読み解く箇所もあり、楽しく読めた。2021/09/06