岩波新書<br> 吉田茂―尊皇の政治家

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岩波新書
吉田茂―尊皇の政治家

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  • サイズ 新書判/ページ数 241,/高さ 18cm
  • 商品コード 9784004309710
  • NDC分類 289.1
  • Cコード C0223

内容説明

戦後日本の針路を定めた吉田茂(一八七八‐一九六七)―その生涯はどのような軌跡を描いたか。牧野伸顕ら「三人の父」をもち、駐英大使など歴任後の戦時下、「反戦和平派」ゆえの逮捕。宰相として講和を実現し経済復興を促す一方、天皇退位を阻み、「逆コース」を推進した「ワンマン」の実像を、その皇室観に着目しつつ、興味深く描き出す。

目次

第1章 人生草創―維新の激流に生る
第2章 帝国主義を抱いて―外交官の軌跡
第3章 体制の淵から―反軍部の旗幟
第4章 敗戦国の宰相―瓦礫の底から
第5章 歴史の岐に立つ―保守主義の貫徹
第6章 講和・安保両条約締結に向けて―外交文書は語る
第7章 権力の黄昏―政党政治からの逆襲
エピローグ―いまに生きる「吉田茂」

著者等紹介

原彬久[ハラヨシヒサ]
1939年北海道釧路市に生まれる。1963年早稲田大学第一政経学部政治学科卒業。現在、東京国際大学名誉教授、法学博士(一橋大学)。この間、1977~78年プリンストン大学および1990年ケンブリッジ大学客員研究員。専攻、国際政治学、日本外交史、日米関係論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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ふみあき

10
吉田茂といえば、戦前は軍部に抗して日米開戦を阻止せんと図り、開戦後は早期和平のために奔走し、戦後はアメリカによる再軍備要求を拒み続けたためか、右翼的イメージは希薄だ。しかし一方で、関東軍も鼻白む対中強硬策を唱えた帝国主義者であり、新憲法下でも大逆罪を存置せんとマッカーサーに訴えた尊皇家であり、占領期間内に共産党の非合法化を目論んだ反共主義者であり、そして安保改定時の騒擾に際しては、岸信介に自衛隊出動を迫った治安主義者であった。2021/01/23

モリータ

8
原著は読みやすくていい。次は中公新書の社会党史だな。2017/01/11

壱萬弐仟縁

8
学校遍歴の項目(27頁~)。明治23年、耕余塾は「耕余義塾」と改称、慶應義塾にあやかったとのこと。実際耕余とは親密な慶應であった。続いて、「無責任時代が到来」の項目(153頁~)。「天皇がその意に反してみずからの戦争責任を形にしえなかったというその歴史的含蓄は重い」(153頁)と指摘されている。天皇は軍部に利用されたのだろう。吉田は、天皇退位・天皇謝罪を否定、という決断と行動に出た。一見不作為にみえながらも、実際には現状保持の革新的意思決定だと分析(154頁)。今の天皇のあり方へと問われる部分があるかも。2013/07/31

ジュンジュン

7
戦後を形作った吉田茂。その評価は戦後50年(あるいは冷戦が終わって)を経て、ほぼ固まったようだ。天皇制(明治維新の成果)の維持、反共への執念、占領下にあって示した矜持、政党政治を嫌う総裁、帝国主義者…これらが混然一体となって吉田茂を、戦後日本を、ひいては現代日本までも規定する。2020/07/15

JVSTINVS

4
これは史論であって、学術の書ではなさそうだ。山東時代の吉田茂の積極外交を①偏見②治安主義③性格のせいにしているが、そんなに単純なことではあるまいし、それでは学術的な批判として疑問符がつく。私見だが、むしろ、経済的利権の可能性に興味があったのではないだろうか。2023/07/18

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