内容説明
春秋時代の孔子から近代の魯迅まで―傑出した才や独特のキャラクターで歴史を彩る五十六人の人物伝を、年代順にたどる。変転する時代状況の中でそれぞれに自分らしさを貫いて生きた彼らの、希望、挫折、嫉妬、諧謔、そして愛情は、どんなものだったのか?歴史をつくった人物への身近な共感とともに、中国史を丸ごと楽しめる一冊。
目次
1 古代帝国の盛衰―「二世三世万世に至り、之を無窮に伝えん」(始皇帝の言葉より)(すべての始まり―春秋・戦国・秦・漢;乱世の英雄と批評精神―三国・西晋;花開く貴族文化―東晋・南北朝)
2 統一王朝の興亡―「白髪三千丈、愁いに縁って箇の似く長し」(李白の詩より)(政治と詩の世界―唐・五代;新しい知識人たち―宋;世界は広がり思想は深まる―元・明)
3 近代への跳躍―「秋風秋雨人を愁殺す」(秋瑾の言葉より)(王朝交替期を生きぬく―明末清初;歴史と芸術をみつめなおす―清;西洋と向き合って―清末・民国初期)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
S.Mori
32
春秋時代から現代まで中国の歴史に名を残した個性的な人物たちを紹介していく一冊。諸葛孔明のように知っている人物もありましたが、近世に近づくにつれ知らない人物が増えてきて、中国史の勉強になりました。どの紹介にも最後にその人物が残した文章の書き下し文が載せられており、漢文好きの私は嬉しかったです。どの文も個性的で格調高く、文は人なりの言葉通りです。一番印象に残ったのは清の八大山人。彼は精神を病みながら清の支配に反旗を翻し、個性的な絵を描き続けました。鋭い眼をした鳥の絵の図版が収録されています。2020/10/04
棕櫚木庵
28
孔子から魯迅まで,56人の人物の小伝を連ね,併せて,「中国の正史は個人の伝記を連ねる『列伝体』のスタイルで書かれている」(p.i)のに倣って,中国の歴史を描く.各項目末尾には,その人物自身の文・書画,あるいは,史書からの一節が引用されている.詳細な人名索引付き.▼面白かったが,なにしろ,次から次へといろいろな人が登場するので,だんだんこんがらかって,前の方は忘れてゆく.ゆっくりと1,2項目ずつ読み,折に触れて読み返したり,参照したりする本かもしれない.2020/08/07
崩紫サロメ
14
井波律子が56人の人物を選び、各3ページ弱の紹介をしている。これ、初心者にやさしいのかよくわからないけど、井波ファンとしては、「誰を選ぶの?どう書くの?」とわくわくした。謝道蘊、魚玄機、李清照、柳如是、秋瑾など女性文人を多く選び、男性でも伝統的な価値観では否定されがちな王安石、李卓吾などを選んでいる。その人にまつわる文章が選ばれているが、そこそこマニアックなものもあり、巻末の参考文献と併せて読書の幅が広がる。2020/03/12
マッピー
13
一人当たり3ページで紹介される56人は、それぞれ中国史に名を遺す人たちなのだろうけど、古代から唐までの人たちに比べて、最近の人たちがわからない。魯迅くらいかな、知ってたの。水滸伝の時代の皇帝、徽宗は、皇帝は失格だけれど芸術家としては超一流だったらしい。ただの石マニアじゃなかったのか。中国史ってやっぱり人物で覚えていくものなのかな。自分の知識が足りないことがもどかしい。それにしても、異才はさておき奇人はなかろうよ。時代を変える人っていうのは多少なりとも変人の部分があるとは思うけど、奇人…というほどでは…。2019/01/10
俊
13
李世民や康煕帝といった名君の評伝も読みたかった。2017/11/04