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岩波新書
性転換する魚たち―サンゴ礁の海から

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  • サイズ 新書判/ページ数 205p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784004309093
  • NDC分類 487.51
  • Cコード C0245

内容説明

オスからメスへ、そして再びメスからオスへ!?ホンソメワケベラやクマノミなど、サンゴ礁にすむ魚たちは、社会的環境などにより、当然のように「性転換」を行う。行動生態学者である著者は、三〇年にわたり、この不思議な行動の謎を追ってきた。謎の解明は新たな謎をよび、尽きることなく研究は続く。魚たちが教える「性の不思議」。

目次

1 魚たちの性転換―ホンソメワケベラとの出会い
2 性とはなにか
3 魚類の配偶システム
4 性転換の進化理論
5 ダルマハゼの謎を解く
6 逆方向の性転換
7 性はどのように決まるのか

著者等紹介

桑村哲生[クワムラテツオ]
1950年兵庫県生まれ。1978年京都大学大学院理学研究科博士課程修了。1999‐2002年日本動物行動学会会長。2002‐2004年中京大学教養部長。現在、中京大学教養部教授。専攻、魚類行動生態学・社会生物学
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

くらびす

11
性比理論・性選択を含めた性転換のプロトコルとそれを誘発する生態系の諸条件を適応主義的な視点からアプローチする。社会的な要請に端を発した生理的な機能の変態を創意工夫によって実現する様は燃える。性転換。「生物が属する系を強固にするため自らに施す補綴術」という自然の発明。社会生物学の思弁は強烈に印象深く、かつグラマラスだ。2014/02/21

仲本テンカ

4
なぜ、生物の性別はふたつしかないのか。その理由は、その方がいのちを繋ぐためのコストが、少なくてすむからだそうです。では、なぜ、サンゴ礁に生きる魚たちは性転換するのか。その理由も同じ。その方が、いのちを繋ぐためのコストが少なくてすむから。なんて合理的な生き方! 私は、この『性転換する魚たち』を面白く感じます。けれども、あの、まぶたの無い眼をした彼ら(彼女ら?)が人間を観たら、どう感じるのか。そう思ったとき、案外、人間の常識っていうのは当てにならないのでは? そう、感じさせられた一冊でした。2012/09/23

たお

4
学術論文を書き慣れた著者だから、啓蒙書でありながら理系論文の手法に則り著述されているので、ルールを知らなければ読み辛い部分もある。その辺りをさらりと読み飛ばすと、『不確定な性の在り方』や『繁殖戦略』が面白い。個体の利潤を数理的に解析し、戦略上の有利さが性を転換させる事を解明。これを無意識でやってのける魚はすごいな………。生涯の産卵数がとんでもない数になるからこそ、性転換が有利に働くんであって……それこそ一度の産卵で終わる生活環や産卵(子)数がさほど多くならない陸棲脊椎動物には無縁の変化。2011/11/20

in medio tutissimus ibis.

3
魚(や両生類や植物やゴカイなど)が性転換をするのは、まずそのコストが低いからである。体外受精をするので、放出する卵子または精子をもう一方に切り替えればよい。そして、成長と生殖のトレードオフの関係にあるので、卵保護や育児、巣や縄張りの維持、同性との角逐といった成長に負う部分に性差があるのならば、それが軽い性としてあるいは成熟しないまま成長して、その後に重責を担う性として生殖する事が、性転換のコストを支払うとしても、適応度を最大化するうえで有利なのである。また配偶者が貴重ならば双方向の性転換も十分にペイする。2021/06/29

スズツキ

3
妙な求心力がある。雄から雌、雌から雄、果てはどちらにでも性転換出来ますよ、という魚たち。そこにはどのような条件と能力が関与しているのか。丹念に探っていく学者たちに幸あれ。2015/02/07

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