出版社内容情報
湾岸戦争から10余年,いまなお独裁をつづけるサダム・フセイン.事あるごとにイラク陰謀論を唱え,政権転覆をもくろむアメリカ.対立の軌跡をたどりながら,アメリカが中東世界に生み出した矛盾の数々を描き出すイラク現代史.
内容説明
湾岸戦争の敗北とその後の封じ込めを経て、いまなお独裁をつづけるサダム・フセイン。事あるごとにイラク陰謀論をとなえ、政権転覆の機会をうかがうアメリカ。その狭間で翻弄されるイラク民衆は、どう生きてきたのか。現代イラクの軌跡をたどりながら、超大国アメリカが中東世界に作り出した矛盾の数々をえがきだす。
目次
「テロの背後にはイラクがいる」
登場―反米・反帝国主義に向かうイラク
出会い―石油と革命と戦争と
サダム・フセインの統治術
湾岸戦争
経済制裁の下で生きる
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Aster
54
読んで良かった、分かりやすい。パレスチナ問題から中東に興味を持った訳だけど、イランイラク湾岸周辺もなかなかヘヴィだな…んでやっぱり誰が悪いのか元凶なのか、そういうのも案の定決められるものではないと…今イラクはどうなっているんだ?というか例のアフガニスタンは?全く読む本も興味も尽きない、なんて地域なんだ…2021/11/14
James Hayashi
29
日本で有数のイラク専門家、02年著。イラクとアメリカの関係はもちろん、イラクの現代史も書き表さられている。チグリス・ユーフラテス川をもち農業国であったイラクが、石油発見により西欧(ソ連を含む)の政治に振り回され、サダムフセインの台頭と豊かになりつつあった国。国境を西欧に勝手に決められ、港口に在するクウェート。湾岸戦争に陥れられたともいえるイラク。アメリカの思惑の一部も垣間みれる。2019/11/12
佐島楓
24
イラク国内の分裂もさることながら、欧米諸国がイラクをコントロールしようとしたという過去があり、今現在があるということも忘れてはいけない。誰に対しても擁護はできないと感じる。もちろん、テロなどで亡くなった無関係な市民は別だが・・・。2013/03/24
kotte
12
9・11後までのイラク史がわかりやすくまとめられている良書です。面白い本だと思います。2017/09/17
Kei
10
再び酒井啓子先生の著作。イラクとアメリカの関係がコンパクトに要領よく纏まっているが、事実の裏にある中東特有の概念や背景に関する知識があまり無いので、どうしても記憶として留めておくのが大変。何故そうなるのか、どうしてそんな対立をするのか等、感覚的に理解出来ない事が勉強を難しくしているのだと思う。今回はイラクとアメリカの二国間関係から中東を見てみたが、他の国からの視点、また、アラブやイスラームといった未だはっきりと言語化出来ていない物からの視点も必要だと思った。2016/06/29