出版社内容情報
心を揺さぶられた人への共感を，弔いの言葉で綴らねばならぬとき，もっとも興味深い人物論が生まれる．杉村春子，勝新太郎，松本清張，横井庄一など，著者が関わった8人に捧げる生への讃歌．
内容説明
人生で出会った人たちの、それぞれの生き方、死に方。杉村春子、勝新太郎、絲屋寿雄、松本清張、横井庄一など８人に捧げる弔いの言葉。
目次
自分で選んで歩きだした道ですもの
勝新ひとり旅
あるシナリオライターの生涯
松本清張は何を書いたか
太陽に向かって昇った
汚い絵
マルクスボーイ歴史家の生と死
恥ずかしながら生きながらえて
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬弐仟縁
10
人の真価は亡くなってからわかる。その凝縮が弔辞であろう。「肉体は亡びますが 心は 死ぬことはありませんから あなたの心は 残ったわたしたちの 心の糧となります」（４６頁）。シナリオライター田村孟（つとむ）故人に著者が語るもの。どんな参列者もこころ打たれる、素直な精神だと思う。岡本太郎氏の頁では、筆字がなんとも素晴らしい。母、鬼婆、本能。暴れた字体にして、繊細な細さも兼ね備えた、まさに、人間の強弱を象徴する字体だと思った。横井庄一さんへの朝日新聞での記事。「戦死したことになっていた」のでない。生きてこそ命。2013/08/01
鬼山とんぼ
1
商業的成功を狙わないという、映画監督としては最初から自殺的方向に突っ走りながら98歳まで映画を撮り続けた異才による、これまた異色の人生を送った知人たちに対するレクイエム。最後のお二人には失礼だが、興味のない人には無駄であると感じた。だが岡本太郎、勝新太郎、松本清張などに関してはさすが映画監督としてのみずみずしい観察力や表現が窺われ、読んでいて楽しかった。やはり彼らは天才だったんだな。多分新藤さんは「売れ線」を追うことによる作品の芸術性の変化を下劣なものとして許せなかったんだろうな。奥さんは乙羽信子。2020/10/28
みつひめ
1
甲斐庄楠音について知りたくて、図書館で借りた。杉村春子、勝新太郎、田村孟、松本清張、岡本太郎、甲斐庄楠音、絲屋寿雄、小野田寛郎について。実際に弔辞を捧げた人もそうでない人も。杉村、勝新、田村、清張、甲斐庄が興味深い。小野田寛郎については、映画化されなかったシナリオが収録されている。 #三茶日記2020/03/24
Gen Kato
1
再読。著者である新藤兼人監督はご長命であられたぶん、多くの同志を見送って来ざるを得なかった。杉村春子、勝新太郎、田村孟、松本清張、岡本太郎、甲斐庄楠音、絲屋寿雄、横井庄一……関わりの深さはそれぞれ違えども、残された、という断腸の思いは等しく、胸打たれます。2014/01/10
