岩波新書<br> 南京事件

岩波新書
南京事件

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  • サイズ 新書判/ページ数 248p
  • 商品コード 9784004305309
  • NDC分類 210.7
  • Cコード C0221

出版社内容情報

日中戦争において,日本軍は当時の中国の首都,南京を激戦のすえ攻略した.その際に発生したのが,いわゆる南京大虐殺事件である.なぜ起きたのか,その全貌はどのようなものだったのか,そしていま,わたしたちはどう考えるべきなのか.外国人史料を含めた史料群を博捜し,分析した著者が歴史をたどり,全体像を解きあかす.

内容説明

日中戦争において、日本は当時の中国の首都、南京を激戦のすえ攻略した。このときに発生した、いわゆる「南京大虐殺」は重大な戦争犯罪として、いまも論議の的になっている。著者は、攻略戦の発端から説きおこし、外国人記録を含めた史料群を博捜し分析して、その全体像を描き出していく。現代史の焦点を衝く待望の歴史叙述。

目次

序 何がどう裁かれたのか―東京裁判と南京軍事法廷
1 南京渡洋爆撃の衝撃
2 上海派遣軍、独断で南京へ向かう
3 近郊農村で何が起きたか―波状進軍がもたらした被害
4 南京陥落―徹底した包囲殲滅戦
5 「残敵掃蕩」の実相―南京難民区国際委員会の記録
6 事件の全貌、そして国際的影響を考える
結びにかえて―いま問われているのは何か

著者等紹介

笠原十九司[カサハラトクシ]
1944年群馬県に生まれる。東京教育大学文学部卒業。専攻、中国近現代史。現在、都留文科大学文学部教授
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

松本直哉

29
功名心に駆られた司令官、転戦に次ぐ転戦で困憊し不満の鬱積した兵士たち、軍中央の意向を無視した抜け駆け…多くの要因が複合した悲劇のプロセスを丁寧にたどる。入城式というパフォーマンスのためだけの残敵掃討。彼らは戦争をやっているつもりなのだろうが我々には殺戮にしか見えないという目撃者の冷めた証言が厳しい。強姦の恐怖に怯える多数の女性たちを保護したアメリカ人の女性が帰国後精神を病んで自殺したというのも読むのが辛くなる。2017/01/29

coolflat

23
略奪・強姦・虐殺の嵐。日本軍を神格化する言説が、70年以上たってもなおまかりとおるのか信じられなくなる。やはり、“政府と国民が戦争責任を追及する国民運動を展開していれば、そうした南京事件の全貌と責任者の解明も可能であったと思われるが、日本政府ならびに国民はそれを回避してしまった。そのこともあって、東京裁判と南京軍事法廷で裁かれた南京事件の事実に対する歴史認識は、多くの日本国民には定着しなかった”という一文に尽きる。戦争を総括しなかったから、現在の極右政権が生まれた。そういう意味で、祖父母世代、親世代を恨む2016/05/01

みなみ

15
南京事件を知るために良い一冊。新書だし読みやすい。南京攻略に至る経緯と、捕虜及び民間人の大規模な殺害に至る軍紀の緩みと司令部の無策が書かれている。まず地上攻略戦の前に行われた空爆は海軍主導、上海での戦闘行為だけで事態を収拾させずに「首都南京を落とせば中国は屈服する」という強硬派。石原莞爾は不拡大路線だったが、独断専行で満州事変を起こしてのし上がった石原莞爾が言っても確かに説得力がない。ドイツやアメリカ大使館がリアルタイムで南京の悲惨な状況を伝えたことで、世界規模で有名になった。日本は言論封殺。2023/07/14

寝落ち6段

13
南京事件はあったのか、なかったのか。当事者のほとんどが他界し、当時の文書も廃棄されてしまっているため、完全なる解明はできないだろう。死者数も明らかに過大な数字を出すものもある。しかし、司令部の無能さで、兵站もなく、無計画に進軍させられていた軍隊があり、殺害・略奪等が行われたのは事実がある。戦争というのは、相手を蹂躙する行為である。命を賭けながら戦っていると、侵攻先の人間を隠したとして扱ってしまう。その後世に生きる我々は、戦争の恐ろしさを知ることで、二度と起こしてはならないと学ばなければならない。2022/03/05

k.kishida

10
南京事件についてはとりあえずこの一冊を読んでおけば大丈夫。日本スゴイの歴史修正主義者にまともにつきあう気は全くありません、不毛なので。2018/06/28

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