岩波新書<br> 相対化の時代

岩波新書
相対化の時代

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  • サイズ 新書判/ページ数 223p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784004305255
  • NDC分類 319.1
  • Cコード C0231

出版社内容情報

ロシア革命から冷戦終結まで,「絶対化」の道を歩んだ20世紀が今,大転換しつつある.市場の世界化と市民社会の普遍化により,国家と国連が相対化されるなかで,日米安保再定義やアジア地域安保などの問題が,日本の平和主義に投げかけられている.今,市民のよって立つべき原点は何か.歴史の深い潮流を捉え考究する.

内容説明

いま、世界がどう動いているのか見えにくい。国家や政府、政党や企業の意味、さらに個人のアイデンティティが混迷している。構造全体が大変動する時代に生きる私たちは、現在に埋没するのではなく、自分と世界を歴史のなかに相対化することで、未来のビジョンをつかむことができる。この本は、市民社会の視点からの、その試みである。

目次

世界政治の変動
沖縄・安保の文脈
アジア地域の和解と協力
「世界秩序」の逆説
平和主義の運動と制度構想
核廃絶への二つの道
いまの課題は何か―東アジアを中心に

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

D.Okada

6
「内で多民族・多文化の共生の場である市民社会は、対外的にも、多民族・多文化の共生の基礎となる可能性をもっている。(中略)こうしたトランスナショナルな市民社会のきずなを創出できるか、それとも再び『民族国家』の神話へと回帰・退行するか、それはおそらく21世紀の市民社会にとっての、大きな挑戦であり、21世紀を市民の世紀にするために避けられない一つの試金石となるだろう」。著者の鋭い指摘から時を経て現在21世紀の最初の10年であるが、なかなか現実は難しいように思える。2010/11/17

茶幸才斎

6
核武装による東西冷戦というガチガチの(つまりは安定的な)構造が崩れ、崩れたがために世界の政治、経済、環境あるいは民族や宗教に根差す問題が噴出し流動する今日。これらの課題に対応し、平和な世界を実現する鍵は、国家でも国連でもなく「市民運動」にあると説く本。市民社会による政治や市場のコントロールに期待する一方で、日本人の先の大戦における加害者意識の希薄さや、私利の増大と公共の喪失を嘆く姿からは、必ずしも自身の思い描く反戦平和の市民活動の盛り上がりが見られないことに対する、筆者の苦悶ないしは苛立ちが伝わってくる。2010/10/15

ああああ

2
世界が、このように速い構造的変化のさなかにある以上、人間のアイデンティティの混迷が生じるのは避けられない。逆にいえば、現代に生きる自分のアイデンティティを確立するには、現在に埋没したままで不毛な「自分探し」をするのではなく、現在の世界と自分とを突き放して、歴史のなかで相対化し、それによって、いま自分がどこに立っているかを探ることが必要だろう。ⅲ (1)国家あるいは党の権力と、それを支える暴力組織(軍、政治警察、親衛隊など)を絶対化し、(2)この権力と結びついたイデオロギーとしての正義、つまり正義一般ではな2022/03/27

オランジーナ@

1
難しかった。2021/12/10

keepfine

0
絶対化の時代から相対化の時代へ――戦前のロシア・ボリシェヴィズム政権から日独伊のファシズム政権、戦後75年間の冷戦体制においては、国家や政党の権力とそれを支える暴力組織(軍・警察)を絶対化し、この権力に結びついたイデオロギーとしての"正義"が絶対化された。集団のメンバーに対し国家の価値基準を絶対的なものとして受容させ忠誠を要求。冷戦体制の集結により状況は一転し、イデオロギー、国際権力(アメリカ・国連)、争点(ex核戦争防止の優先度が低下、ヒロシマ・ナガサキの再定義)が相対化される時代に突入したのである。2016/09/13

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