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岩波新書
名前と人間

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  • サイズ 新書判/ページ数 204p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784004304722
  • NDC分類 804
  • Cコード C0280

出版社内容情報

何のために人間は名前を付けるのか.名前には意味があるのか.民族によってはナナシさんやビンボーさんだって珍しくはない.名前をめぐって言語,社会,歴史,民族,哲学など,あらゆる角度から鋭い考察を加える.

内容説明

何のために人間は名前を付けるのか。名前には意味があるのか。どうして言語学は固有名詞をまっとうなテーマとして扱ってこなかったのか。人が自由に名付けるのを許されないのはなぜか。民族によってはナナシさんやビンボーさんだって珍しくはない。あらゆる角度から名前を考え、「名付けるもの」としての人間の歴史を振り返る。

目次

第1部 言語学と名前学(名前の支配;ことばと名前 ほか)
第2部 名前学から見た固有名詞(言語記号の恣意性と固有名詞;固有名詞の弁別性 ほか)
第3部 固有名詞の語源(ユダヤ人の美しい名前;民間語源(フォルクスエティモロギー)について ほか)
第4部 名づけの諸相(さまざまな名づけ;モンゴル人の名前から考える)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

はちめ

8
変なタイトルが付いているが固有名詞に関する本である。前半部においては言語学者がいかに固有名詞を無視してきたかについてぐだぐだと語られるがこれが案外面白い。固有名詞には意味がなく、単なる印にすぎないので言語学者は無視してきた。後半部は人名や地名に関するエッセイのような内容になっている。本書は1996年の出版なのでキラキラネームはでてこないが、固有名詞には意味を持っていないことを考えれば、現在主流になりつつあるキラキラネームは固有名詞の本質に添った命名法になっているのかもしれない。☆☆☆☆2021/05/05

にゃん吉

5
体系性を重んじる近代言語学から、対象外として扱われたという固有名詞に関するあれこれが書かれています。言語学は難解そうで、敬遠気味でしたが、本書は、独特の味のある文で面白く読めました。言語という切り口から、近代社会や国家、民族の本質が分析されるような記述が興味深くありました。著者の他の著作も読んでみたいところ。  2020/08/27

うえ

5
「近代民主主義の重要な構成要素に、近代国家の成員である国民の、権利の上での平等ということがあげられる…「人は法のもとに平等」であることは、フランス革命のスローガンであったが、その法の恩恵にあずかるための前提は、その法を書いた言語を共有することであった。すなわち近代民主主義国家は、国民が、みずからの方言や民族語を捨てて、中央が定めた法の言語に、自分の母語を同化させることが前提条件であった」「一つの言語による一つの法、その法のもとでの等質的な名前の所有は、民主主義と平等主義を実現する前提であると考えられた」2017/08/22

Saiid al-Halawi

5
田中克彦先生による固有名詞論。固有名詞とは内包するパーツの持つ語源的意味付けを極力排除しながら単なる目印/指標として機能させるものだ、としながらも、ロシアやモンゴル他、実際の運用のされ方とその揺らぎを見ていく。ツッコみどころも多くあるんだろうけど、「固有名詞とはつまるところ権力なのだ」と教わってきた人間にとっては非常に面白く読み進められた。2012/11/30

NICK

4
そういえば確かに言語学とか国語学で固有名詞に関する議論って知らないなぁと思った。ここで論じられている固有名詞というのは現代思想でいう固有名に通じるものなのだろうか。固有名詞がなにものをも意味しないなら、歴史や物語といったものを表象するということか。2011/08/12

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