岩波新書<br> 神仏習合

岩波新書
神仏習合

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  • サイズ 新書判/ページ数 224p
  • 商品コード 9784004304531
  • NDC分類 162.1
  • Cコード C0221

出版社内容情報

なぜ神と仏は習合するのか.神宮寺の発生から,密教の展開,怨霊観念の成立,穢れ忌避思想と浄土信仰,そして本地垂迹説・中世日本紀にいたる過程を分析し,その社会的背景を探る.

内容説明

古代末期の東国の反乱者、平将門は巫女の託宣により「新皇」に即位する。託宣に登場するのは菅原道真の怨霊と八幡大菩薩。これを神仏習合思想の劇的な発現とみる著者は、神宮寺の発生から密教の展開、怨霊観念の成立、ケガレ忌避思想と浄土信仰、そして本地垂迹説・中世日本紀にいたる過程を分析し、社会的背景を論じつつ、全体像に迫る。

目次

序 巫女の託宣―誰が平将門に新皇位を授けたか
第1章 仏になろうとする神々
第2章 雑密から大乗密教へ
第3章 怨霊信仰の意味するもの
第4章 ケガレ忌避観念と浄土信仰
第5章 本地垂迹説と中世日本紀
結 普遍宗教と基層信仰の関係をめぐって

著者等紹介

義江彰夫[ヨシエアキオ]
1943年東京に生まれる。1966年東京大学文学部卒業。専攻、日本中世史。現在、東京大学教養学部教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Book & Travel

21
外国人には特異に見える日本人の宗教観をうまく説明できるようにしたくて、カギになる神仏習合について勉強。本書は8~9世紀に各地の大神が神宮寺となるところから、怨霊信仰、ケガレ忌避観念の発達等を経て、完成形となる本地垂迹説までの神仏習合の流れがまとめられている。考えていたより段階的で複雑で、理解が難しいところもあったが、背景として、古代神祇信仰と税制の関わりから、中世の武士の台頭など社会の流れが説明されていて、理解促進に大いに役立った。神仏習合、本地垂迹といった言葉がより具体的にイメージできるようになった。2015/12/18

中年サラリーマン

14
面白い。日本の神は実は仏が化身となって現れたものであるから本質は神ではなく仏なんだよ、という僧侶が広めた本地垂迹説にいたるまでの日本での神仏にまつわる話。そこに富を蓄えた地方豪族が神を規範とした朝廷から逃れるために仏教に向かった話や逆にそれを利用した朝廷。そのことが神が仏に帰依していく権力話。そして下手に神を残したものだから呪術的要素が残るところからの密教拡大、菅原道真の呪い。まとまっていてとても面白い。あと、空海は天才すぎて最後は嫌われちゃったのかな。で、同時代の最澄の比叡山が席巻したのかな。2013/11/17

makimakimasa

7
主張の根拠に観念的な説明が多く難解。神宮寺の成立を律令国家の租税システムに絡めた件は納得しながら読めたが、なぜ密教でなければならなかったのか。怨霊信仰(ex.菅原道真&平将門)も同様、密教のマジカル性とどう結び付いたのか、もっと詳しい説明が欲しい。イザナミの死やスサノオの乱行を起点として始まるケガレ忌避観念、その肥大化に対応する浄土信仰(その日本的論理の全面開花が源信の『往生要集』)、その延長線上にある本地垂迹説と中世日本紀で、神仏習合の到達点とする。最終的に神は仏に取り込まれる。初心者にはハードル高い。2019/01/08

那由田 忠

7
 伊勢の古くからの神が8世紀に、神の身を離れて仏教に帰依したいと求めたという話から、この書も義江さんの研究もスタートしている。神仏習合の展開を4段階に分けて整理しているのが非常に刺激的である。ケガレを負の存在として全面的に排除しようとする論理が、貴族から始まって社会に広がっていき、その中で仏教の普遍宗教的部分と合体していく、という見方は面白いと思います。  しかし、義江さんの仏教・大乗仏教観はちょっと違和感があります。仏教が物欲を罪と考えているか、普遍宗教が何かという点ですね。2014/03/27

yk

6
神仏分離について調べようと思ったらその前にそもそも神仏習合だなと思い読みました。なかなか難しく感じましたねw 初穂の一部を懐へ入れることの後ろめたさからの仏に救いを求め神宮寺化→個別の怨霊の対応で仏教の活躍→物忌み、ケガレ忌避からのケガレなきお浄土への救いを求めて→本地垂迹で後付け理解。すごい流れだなーと思うけど、神様と仏様がぶつからなくてよかった。なんだかうまいことやったんだなってくらいでちょうどいいですよ。争ってたら本質とは違ってくる。この本は難しかったけど驚きも多く総じておもしろかった。2020/08/07

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