出版社内容情報
子どもたちの生きる社会環境が激変する今日,「教育」のあり方が,いつにも増して問われている.臨床心理学者として,子どもの心の世界に長年接してきた著者が,帰国子女や不登校児の言葉に耳をかたむけ,日本型教育への疑問,心や性の教育の必要性を盛り込みながら,子どもと学校の新しい関係を創造する道を語る.
内容説明
子どもたちの生きる社会環境が激変する今日、「教育」のあり方が、いつにも増して問われている。臨床心理学者として、子どもの心の世界に長年接してきた著者が、帰国子女や不登校児の言葉に耳をかたむけ、日本型教育への疑問、心や性の教育の必要性を盛り込みながら、子どもと学校の新しい関係を創造する道を語る。
目次
1 教育の価値を見直す(教育における「価値」;「臨床」の視座;教育の中の二つの原理)
2 大人が子どもにかかわること(「教える」と「育つ」;「教育」はいま;「女性の目」、「男性の目」)
3 教える側、教わる側(幼児の成長と教師の役割;日本文化のなかの教師と生徒の関係;体育と笛;不登校の「処方箋」)
4 こころが育つ環境(子どもの倫理と道徳性;性の理解と教育;思春期の心理)
著者等紹介
河合隼雄[カワイハヤオ]
1928年兵庫県に生まれる。1952年京都大学理学部卒業。1965年ユング研究所(スイス)よりユング派分析家の資格を取得。専攻は臨床心理学。現在、国際日本文化研究センター教授
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
マグカップ
29
1992年に出版された本だが、現代の教育の在り方にも共通して言えることが多く書かれている。章構成としては、Ⅰ章「教育の価値を見直す」Ⅱ章「大人が子どもにかかわること」Ⅲ「教える側、教わる側」Ⅳ章「こころが育つ環境」となっており、この1冊を読めば、教育者としての子どもへの関わり方についての示唆を得ることができるだろう。子どもたちを導いていくのは、両親であり、教師であり、その背後にある社会全体だ。社会に生きるすべての人におすすめの一冊。2021/09/02
ムーミン
23
改めて基本の部分を確認する機会になりました。それにしても今から20年以上前に、今の時代にぴったり当てはまるメッセージを伝えていたんだなあ。2017/08/19
まぁみ
20
気づきの多い指南書でした、私には。子育てはとうに終えましたが、考え深い考察ばかり。読後、息子へ渡しました。古い本ですが、現代でも然程遜色はないと思う。小・中学校の先生方にも読んで欲しいな。2025/02/14
佐島楓
19
教育関連の方はもちろん、子どもを養育する側の方々にも一読をおすすめしたい。子どもと対等に向き合うことの大切さ、子どもの世界を壊さずにはぐくむことの重要性が書かれている。私はいくつ歳をとっても、子どもであった部分を切り離さずにおきたい。2012/03/08
Lily603
15
★★★★+ 子供に「教える」だけでなく、子供が「育つ」場を提供することにも力を入れてみると良いのでは、という立場から教育の課題である個性の伸張、国際化、生涯教育、果ては道徳や性と教育の関わりを論じた1冊。『子供が育つのを本当に「見守る」ということは、何やかやと「教える」ことよりも、よほどエネルギーのいるものである』もちろん、放置することよりも。 2013/05/19