岩波新書
イスラームの日常世界

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  • サイズ 新書判/ページ数 227p/高さ 18X11cm
  • 商品コード 9784004301547
  • NDC分類 302.28
  • Cコード C0239

出版社内容情報

イスラームは,いまや第三世界にとどまらず地球的規模に広がっている.その世界観が,幅広い世代にわたって,十億もの人びとの心をひきつけるのはなぜか.長年,世界各地の実情を見てきた著者が,生活体系としてのイスラームを,断食,礼拝,巡礼などの基本的な生活習慣や,結婚・職業観などから語り,その真髄を解き明かす.

内容説明

イスラームは、いまや第三世界にとどまらず地球的規模に広がっている。その世界観が、幅広い世代にわたって、十億もの人びとの心をひきつけるのはなぜか。三十年以上、世界各地の実情を見てきた著者が、日々のイスラームを、断食、礼拝、巡礼など最も大切にされていることや、結婚・職業観などから語り、その知られざる姿を明らかにする。

目次

1 人間は強いか弱いか
2 祈りと仕事のいい関係
3 「ベール」の下の女の世界
4 断食月はたのしい
5 メッカへ、メッカへ
6 なるべく動きたまえ
7 何がいちばん大切か
むすびにかえて―イスラームと近代化

著者等紹介

片倉もとこ[カタクラモトコ]
1937年奈良県に生まれる。1972年東京大学大学院地理学博士課程卒業。津田塾大学教授、国立民族学博物館教授(総合研究大学院大学教授併任)を経て、現在、中央大学総合政策学部教授、国立民族学博物館名誉教授、理学博士。専攻は社会地理学、民族学
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

5 よういち

89
西暦614年、メッカでムハンマドがイスラームを伝え始めた時、信者は数名だった。今や第三世界にとどまらず世界中で信者を増やすイスラーム。◆かつては古代ギリシャやローマ文明をアラビア語に翻訳し、これを発展させて西洋に伝えたのはイスラーム世界。西洋ルネッサンスはイスラームの存在なくして成立しなかった。◆人間が生きていく上のすべてのことと関わるのがイスラーム◆イスラム国が登場して書かれたイスラムの世界を紹介する本のほうが分かりやすいとは思うが、変な意図的な感情が見え隠れせず淡々とイスラームの世界を紹介している。2019/07/18

ほりん

39
イスラームでは,神が社会の中心にあり,人間は弱い存在であるととらえられていて,誘惑に負けやすくなるような状況をつくらないために,様々なきまりあるとのこと。断食によって,食物のありがたみと神への感謝と,すべての人間は平等だということを思い出すという。もともとは他の宗教に対しても寛容だった。労働よりも「ラーハ」(休息・安息)に重きを置き,かつ遊牧民の宗教らしく「動くこと」も大事にする。西欧社会の習慣とはそぐわない部分もあるが,実に豊かな教えだととも思う。読みながら,あのテロとは全く結びつかないと何度も思った。2015/01/22

kochi

21
ハリウッド映画の敵キャラは、時代とともに、ロシア人、エコノミックアニマル、と変遷し、今ならさしずめ、イスラム原理主義者なのかもしれない。そんな風潮に加えて、政教分離を当たり前と教育された我々から見て、宗教指導者が政治を行うと言うだけで、異質な社会と見なしてしまいがちだが、普通のイスラム教徒は、どのような日常生活を送っているのか? 礼拝や断食、メッカ巡礼など「普通」のムスリムの生活が、よく分かる。仕事の締め切りを確認された時に、「神の意思あらば」と答えて見たい… f^_^2014/06/21

肉尊

19
イスラームは資本主義、社会主義と同列に考える見方もあるようだ。彼らがどこに価値観を置き、どのような日々を送っているかがよく分かる一冊。男女で異なる世界を生き、女性はベールを纏うことで男世界に乗り出すこともできる。礼拝や断食を通じて神と不可分の人生に感謝し、過ぎたことは顧みず、大盤振る舞いと言われるほど人を饗す、共助の社会。仕事にもつかず、ぼんやり過ごす青年がいたとしても、思索や瞑想を重んじる社会では排除されることはない。のんびりとした寛ぎに幸せを感じる、そんな世界があることを教えてくれた一冊。2021/01/06

まると

16
内藤正典さんが近著で「示唆を得た名著」と記していた本です。刊行は1991年。なるほどイスラームの考え方を断食や礼拝、巡礼など日常世界から解説しており、その世界観をわかりやすく教えてくれています。ムスリムの女性たちが決して抑圧された存在ではないということも、友人たちのリアルな情報からつまびらかにしており、とても面白く読みました。イスラームは宣教師がいないにもかかわらず、今も世界中で信者を増やし続けているのはなぜだろうと思っていたけど、とても人間的で意外に柔軟な教義に触れて、その理由が何となく理解できました。2020/12/05

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