出版社内容情報
一九七九年のイラン革命以来,サダト・エジプト大統領暗殺,米・英・仏人誘拐,ハイジャックなど,中東でイスラム原理主義グループによる血なまぐさい事件が相次いでいる.スンニー,シーア両派の原理主義者(急進派または過激派)とは,どういう人びとか.イスラムの世界観から説きおこし,豊富な現地取材にもとづいてその実態を語る.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
jj
4
エジプト・レバノン・イラン・イラク・湾岸諸国におけるイスラム原理主義に関する内容や末巻のイスラム原理主義一覧はとても参考になった。ホメイニがサダムフセインをイスラムの破壊者と呼び、イランはソ連・米国に挑戦している唯一の国と自賛。エジプトサダト大統領暗殺事件後のムバラク大統領の対テロの手際よさ。イラン米国大使館戦占拠人質事件後のレーガンによる強い米国をスローガンとした戦略的コンセンサス(ソ連封じ)を中東湾岸諸国に求めた経緯は楽しめる内容。ホメイニのイラン革命輸出推進は現代にも通じて笑えない内容ですね。2016/06/22
kaizen@名古屋de朝活読書会
2
イスラム教と政治は、中世のキリスト教と政治と同じ関係にあるのだろうか。 政治と宗教が分離されていないことの、一つの方向性が分かる。 イスラム教の宗派の違いは、本書を読んでもよくわかっていないが、 宗教間の戦争、宗派間の戦争がなくなるにはどうしたらいいかを考えさせられた。 目には目をでは、戦争は終わらない。岩波新書百一覧掲載http://bit.ly/10CJ7MZ2010/03/05
町人
2
3日もかかってしまった…しかしながら、濃密な本である。あまり触れられないレバノンやバーレーン、クウェートなどの国々についても詳しい。さらに政情不安な中東においてのイスラム世界の有り様を、イスラムの教義から説明してくれる。社会正義と日々の生活の向上の実現が大事で、かつ国家という枠組み自体がイスラムにとってはそぐわないのではないかとも思う。超大国の覇権や権益を保持しようとして使われがちな安直な「二分法」が、この地に不幸をもたらす。とても20年以上前の本と思えぬ鮮度を感じた。2013/02/16
丰
0
Y-202007/07/24
おらひらお
0
1987年初版。現代のイスラム関係新書では省略された事項も含まれていて面白い。また、各国の著名な指導者のかなり若い写真が掲載されていて新鮮でした。もちろん当時は近影でしょうが。2020/10/31