出版社内容情報
過去の偉大な人類の業績を後世に伝え,人間の進歩に果たしてきた書物の役割は絶大である.本書は,古代エジプトやギリシア・ローマ時代において,皮紙がパピルスに取って替るまでの書物の作り方を述べ,古代人における読書の習慣の起源並びに発達をたどりながら,書物がいかに優れた文化の伝承者であったかを明らかにする.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
23
1953年11月20日発行の第1刷で読む。60年をへて、酸性紙でてきた本書は、すっかり茶色にやけて、もろくなっている。現代の本がすでにその状態なのに、古代のパピルス本で、残存しているものがある、ということは驚異だろう。エジプトの乾燥した気候が、もろいパピルスを腐らせなかったのである。古代の書物がどんな形態だったのかを詳しく教えてくれる本。原著が1930年代なので、まさに邦訳刊行時に解読された古代ギリシャの線文字Bについて、未解読のままの扱いとなっているのは、タイミングを逃していて残念である。2014/10/20