出版社内容情報
「フロイトに還れ」を旗印に、二〇世紀の精神分析、思想全般に新しい潮流を生み出したジャック・ラカン。三〇年近くにわたって続けられたセミネールの中でも、転回点を示すものとして名高い一九六四年の講義録。「無意識、反復、転移、欲動」の四つの基本概念について、白熱した議論が繰り広げられる。改訳を経ての初の文庫化。
内容説明
「フロイトに還れ」を旗印に、二〇世紀の思想界に新たな潮流を生み出したラカン。本書は、三〇年近く続いたセミネールの要となる一九六四年の講義録。「無意識、反復、転移、欲動」の四基本概念について、精緻な議論が繰り広げられる。改訳を経ての初の文庫化。
目次
破門
無意識と反復(フロイトの無意識と我われの無意識;確信の主体について;シニフィアンの網目について;テュケーとオートマトン)
対象αとしての眼差しについて(目と眼差しの分裂;アナモルフォーズ;線と光;絵とは何か)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
lily
85
ラカンは女性論が面白そう。意識の子の象徴みたいで。無意識からいかに意識的に喚起させられるか。日常の多くの無意識の中のルーティンから変化をつけて、高みを目指す。そこに人生の面白さがある。2021/04/05
ひばりん
8
ラカンは難しいですが、思考や理路が難しいというよりは、扱っている題材が難しいのだと思います。いわゆる輪廻回数、つまり対人関係で苦労してきた経験が多めの人ならサクサク読めるかもしれませんよ。幸運にもそのような経験をしてきていないならばフロイトを読んで彼の苦労を偲んでから出直すしかない。/ところで、対象aは、”ふたなりちんぽ”に置き換えると読みやすい、と私はよく主張するのですが、「余計に解らなくなるから黙れ」と言われてばかりです。これは、半分ジョーク。/あとロブ=グリエの『嫉妬』も参考になります。2021/02/23
井蛙
7
あの良心的なポパーが躍起になって排撃したマルクス主義と精神分析が、それぞれ一人の巨大な天才によって開かれた領野であるということ、その事実がこの二つの「科学」をソクラテス以前のカルト的に乱立した黎明期の科学へと近づけている。ラカンがフロイトの亜流を非難し、絶えずフロイト自身へと立ち戻ろうと草の根をかき分ける仕草には時代錯誤な熱狂さえ感じられる。精神分析において明らかにされる〈真理〉は、フロイトという個人の欲望によって初めて実現化の素地を与えられたのだ、というラカンの根本的な前提はほとんど噴飯物だとも感じる→2020/11/29
amanon
4
二十年ぶりで、二、三度目の再読。しかし、前回の記憶は皆無で恐らく十分の一も理解できていない(笑)。講義録ということで、語り口は平易でサクサク読める。しかし、本文中で使用されるタームが頭の中を素通りしていく感じで、内容が全くと言っていい程入ってこない。それでも、またそのうち読み返そうという気になるのが不思議。そもそもフロイトの理解が足りないのが問題か?ただ、メルロ・ポンティを始めとする何人かの哲学者への言及が目についたのが興味深かかったか。それと、難解で知られるラカンの著作だから、もっと詳細な訳注が欲しい。2022/01/14
記憶喪失した男
4
これがうわさに聞いていたラカンか。ようやく、上巻だけ読んだ。なかなか面白い指摘が多かった。神学的、哲学的、生物学的、芸術論的、な視点から精神分析について述べる。2022/01/13