内容説明
和辻哲郎の大著、初の文庫化。1937年に上巻、42年に中巻、戦後49年に下巻を刊行、その壮大な体系は戦前から戦後へやむことなく発展を続けた。人と人との間柄に着目し、人間存在の基本構造、共同体論、歴史哲学へと向かうオリジナルな探究は、そのまま日本近代の哲学的思考の到達点である。全巻に詳細な注・解説を付す。全4冊完結。
目次
第4章 人間存在の歴史的風土的構造(歴史性風土性の相即(国民的存在)
世界史における諸国民の業績
国民的当為の問題)
付録 序言(昭和十七年、二十一年、二十四年)
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感想・レビュー
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リンデ
4
3巻までの「人倫的組織」の考察をもとに、人間存在の歴史的風土的構造、具体的な世界史における諸民族の歴史的考察、世界国家の時代における我々自身の「国民的当為」〜我々のなすべきこと、へと和辻の探求は進む。なんといっても、最も新しい版でも昭和24年版だから、諸民族の歴史については、新知見がたくさんあるだろうし、誤謬もあろう。「当為」の前提となる社会も和辻の時代からは、大きな変化を遂げているので、今、読むと古びたところもあるが、「人倫の道」を求めて、理想を高く掲げる和辻の姿と文章に、強い感銘を受けた。2021/12/27
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