内容説明
欧米の文学理論の諸潮流を初心者にも分かりやすく解説するすぐれた入門講義。上巻では文学理論が対象とする「文学」とは何かを問うことから始め、19世紀の英文学批評の誕生、現象学・解釈学・受容理論、構造主義と記号論について詳細に論じる。明確な視座に立ち、読者の思考を刺激し触発する、「20世紀の古典」。
目次
序章 文学とは何か?
第1章 英文学批評の誕生
第2章 現象学、解釈学、受容理論
第3章 構造主義と記号論
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
lily
126
文学の概念を哲学的にカテゴライズしてみた本。18世紀イギリスでは文学とは虚構性よりも高尚文学として合致しているかどうであった。私が岩波文庫を信頼している点でもある。構造主義や現象学の打つ手に阻まれない自由な感受性を持った読者であり続けたい。2019/08/10
ケイ
113
オーウェル『1984』の世界で使われる「ニュースピーク」について読んでいると、イメージがこの中で書かれていたことと重なってきて再読。フォルマリストがロシア革命の頃に出てきた概念なら、スターリン下の世界と思われるオセアニアでニュースピークが課されるのが大変興味深い。フォルマリスムと同じ頃に、フランスでソシュールが言語学の観点から文学を論じている。言葉にこだわり、文学が置いていかれる…。原理だけ考えていれば、思索はどこに漂うのだろう。イーグルトンの理解のためには、あと2回は読まなきゃダメだろうな。2020/09/23
ケイ
110
読解が出来ず、ほぼ文字を追うだけ。とりあえず下巻を読んでからもう一度読み直そうと思う。文字と文学は違う。シニフィオンとシニフィエ。記号論。。。2020/08/04
zirou1984
45
本書は20世紀における文芸批評史であり、更に言えば2章以降は20世紀大陸哲学から見た文芸批評とは何か、という点に尽きるのだろう。そもそも現代思想が問いの中心を対象そのものから言葉それ自体に置いていることを考えればそれが文学理論と結びつくのは当然であり、現代思想って実際文学/文学批評そのものだよねってのが個人的立場。そんな訳で最初の英文学批評の誕生の箇所が個人的に一番興味深かったのだが、古典研究に対応する形で現代英文学研究が学問として成立するのが第一次世界大戦という時代背景に負っているとする指摘は興味深い。2014/12/27
ころこ
38
筒井康隆『文学部唯野教授』の種本です。昔のソフトカバーの単行本よりも読み易くなってます。筒井が批評家に反論を試みる理論的根拠を探していて、大江健三郎が筒井に勧めたことから大きく心酔していったと書いていたのを記憶してます。本書と唯野教授の目次が同一なことから、筒井が大きく評価しているのが分かります。本書の2章に解釈学と受容理論があります。「文学とは何か」といった場合、文学作品が書かれた段階で作品は作者の何かを表象して、読者は作者の意図に近い形で読むというのが従来の理解でしょう。そのために作者のプライベートを2018/12/17