出版社内容情報
幕末維新から戦後まで,近代日本100年の間に日本人によって生みだされた思想とそれを担った思想家について簡潔に記した近代日本思想入門.福沢諭吉の啓蒙思想から自由民権思想,国粋主義,人権思想,民主主義,民族思想,科学思想,社会主義,フェミニズムまで主な思想潮流を整理し,主要な著作を紹介する.索引を付す.
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
isao_key
11
岩波文庫の別冊として書かれた本で、本文中に岩波文庫に収録されている本を示している。幕末から戦後までの日本で生まれた思想の潮流について解説している。紹介されている記述がマルクス主義者、社会主義、リベラル派が多く目につく。岩波書店の意向が現れているのだろう。ただ近現代の思想をテーマごとに分類し、丁寧に解説している。また本文中で紹介されている数多くの原書を読んでいるのが分かり、大いに評価できる。中江兆民はルソーの『社会契約論』を訳すにあたり「リベルテー・モラル」を『孟子』の「浩然の一気」と比定している、とある。2015/12/08
ア
7
大変おもしろく、勉強になった。幕末〜戦後に至る様々な思想が手際よくまとめられている。国体論の解説が充実しており、民俗思想のところで伊波普猷や知里真志保らが取り上げられていたのもよかった。日記や自伝の意義や、言論統制についての解説もGood.2022/12/23
マリーゴールド
7
戦前の思想の流れが知りたくて手に取りましたが、今のところ明治時代は読書の対象外なので、「6 国体論」から読みました。明治も面白そうなんだけどね。思想といっても、哲学・政治思想だけじゃなくて、民俗学や科学、ジャーナリズムなどなど、それぞれの分野で印象的な人物と主要な著作が紹介されています。コンパクトなのに、単なる概略の説明だけに終わっていなくて、取り上げられた人物や著作についてもっと知りたくなる魅力が文章にあります。そして、戦前の歴史や思想に無知な私でもすっと読めて分かりやすい。2016/06/30
シュミットさん
5
こういった入門書の出来不出来は、読者に対していかにその本を読みたいと思わせるかにかかっている。本書はその点で完璧に役割を果たしている。岩波文庫目録は必携。2008/12/04
KAZOO
4
表題にもあるように幕末からむすびの戦後までの日本の思想についての案内書です。あくまでこれから自分が読んでみようとする分野への案内書ということに限って言えば非常にいい本であろうと感じます。ですから昔でいえば岩波文庫の青帯、白帯の本でこれから自分がどのような本を読んでいくかの参考になると思います。2013/04/13