出版社内容情報
イタリアの片田舎ネミ.その昔,聖なる森と呼ばれたこの景勝の地には一本の聖なる木があって,司祭職の地位は,その枝(「金枝」)を手にした男の間で争われた.フレイザーは,この風習の由来を説明しようと研究の筆を執る.この民俗学資料の宝庫『金枝篇』の第一歩は,こうしてしるされた.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐倉
13
2巻目ではタブーと王殺しについて例の如く共感呪術によって読み解いていく。呪術の認識では呪術者たる王の身体と自然はリンクしている。自然をコントロールするために王の行動(食事から睡眠、性にいたるまで)を管理し規定する民族の実例を次々と紹介していく。また王殺しもこの観点から見ると”王の呪力が弱まって死亡する”よりも”呪力に陰りが見えたタイミングで弑して若々しい肉体に移し替える”ことで世界の決定的な崩壊を防ごうとする意図があるのでは、としてる。そしてこの考え方は夏と冬の交替と照応し…と話がどんどんと繋がっていく。2024/02/21
有沢翔治@文芸同人誌配布中
7
タブーとされる言葉。名前を直接呼んではいけないのは、将軍のことをお屋形様と呼ぶことにも繋がってくるのではと思いました。2020/05/12
ミュポトワ@猫mode
7
ようやく読み終えました…この2巻目は時間がかかった…と思いつつ、1巻目も10日くらい読み切るのに時間がかかってましたorz 速読はできないのですが、この本はいくら読んでもページが進まない… 何よりも驚いたのは、1巻目の内容がほとんど頭から消えていたこと… さすがは岩波文庫が出版している専門書と言ったところでしょうか… なお、専門書は最低3回、できれば5回は読み直すべきとのことなので、時間をおいてまた読みます まずは、3巻目を読みますが… これは図書館本ですが、何回も読むことを考えると買わないとダメかなぁ…2018/05/30
藤月はな(灯れ松明の火)
3
「首狩りなどの殺人と繋がることを行う民族もタブーを守ることによって身内に死者の災いが起こらないようにしている」という記述は法の力も万能ではない社会で生きる私達が彼らを「野蛮だ」と片づけることへの反論のようにも思えた。他にも言霊、本当の名前を知られることや飲食を見られたり、内在物(唾など)を他者に手に入れられてしまうことへの恐ろしさは現代にも通じているのだなと時の繋がりをしみじみと感じずにはいられません。神聖な存在である王の殺害は神聖なる存在が人に殺されることによって恩恵が継続されることを示唆している。2011/12/30
Kaname Funakoshi
2
主にタブーの話と、王を弑殺することで力を更新していく話2023/04/30