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岩波文庫
宗教生活の原初形態〈下〉 (改訳)

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  • サイズ 文庫判/ページ数 380p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784003421420
  • NDC分類 163.2
  • Cコード C0139

出版社内容情報

宗教とは,社会における「聖」と「俗」の集団表象であり,社会そのものに根ざす力である.デュルケム(一八五八‐一九一七)は,オーストラリア原住民のトーテミズムを考察の対象としてとりあげ,宗教の社会的起源・機能を解明してゆく.宗教現象の研究に社会学的方法の規準を適用して科学的基礎を与えた名著.

内容説明

デュルケムにとってトーテム集団は、宗教生活のみなずら社会そのものの原初形態であった。彼の考察は、信念や儀礼等の宗教的側面にとどまらず、思考の基本的な枠組、時間や空間の概念にまでも拡がってゆく。ウェーバーと並んで宗教社会学を確立し、以後の社会学の各分野に多大な影響を及ぼしたデュルケムの最後の著書。

目次

第2編(霊魂観念;精霊と神との観念)
第3編 主要な儀礼的態度(消極的礼拝とその諸機能、禁欲的諸儀礼;積極的礼拝;贖罪的儀礼と聖観念の曖昧)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

夜間飛行

87
オーストラリアでは動植物だった祖霊が来訪・受胎して人が生まれるとされたらしい。そこでは鹿のトーテムに属する人は《鹿=人》であるというように各人が祖霊の性質を引き継ぐ。霊魂の観念が人の二元性を保証し、聖と俗、社会と個人を統合するというのは我々の常識からも肯ける話だ。デュルケムはこれを部族神と結びつけ、神との親縁関係を呼び戻す装置としての供儀を説く。つまり俗なる人間は、《鹿=人》という二重存在だからこそ食や血を介して聖性を体現し、各トーテム種に命の火を点すのだ。俗が聖を活かす発想は私にとっての救いでもあった。2018/11/04

壱萬弐仟縁

19
トーテム原理:連合が氏族を形成する個人意識のうちにのみ、これらによってのみ生きる(26頁)。社会はわれわれの内部に永続的なかたちで自己を確立、自らを表明する観念と感情との一世界をよび起す(53頁)。社会は、しばしば、個人に対しては苛酷である。個人的に恒久的な犠牲を要求する(146頁)。そう、ODや非正規になったら最後、一生働かないと食えない羽目に陥るのである。社会は、個人とそのうちにのみ、生存し、生活する。社会は、意識に場所を占める程度においてのみ、実在性をもつ(204頁)。 2015/04/15

アン・シャーリー

5
いちおう読んだが難しくて長くてぜんぜん頭にはいらない。専門で勉強している人でなければ、とにかくデュルケムは「宗教は人間が寄り集まって作る社会の発生とともに生まれ、そこからの要請によって発展してきた」「神と社会を同一のものとして読みかえることも可能である」的なことを言っている、とだけ頭においておいて、それで結論部を読むだけでもかなりグッとくる……と思う。社会学の二大親玉の一人だけあって、社会とはただの個人の集まりの全体像ではなく、それを越えるなにものかである、という社会学の根本的な認識がここにある。2013/02/08

ゲニウスロキ皇子

5
上下巻ともにすこぶる面白かった。まさに社会学の黎明をこの目で見ているかのような感覚か。神が社会に置き換わる。社会は個人を超えたものとなる。すなわち、ある個人が滅びても、社会は依然として現存している。それは、トーテム体系が究極的に個人に依らないことからも明らかである。こうしてデュルケムは、社会という概念を人々の総和以上の「実在」として規定したのである。とまあ偉そうに書いたが、ここまで至る厳密な論証が厳密すぎて笑えるぜ。その才能を少し分けてくれんかのう。2011/10/19

demoii

3
難解だったが、読み解きたい、読みきりたいと思わせる魅力がある。上巻が原初の宗教の探索なら、下巻は原初の宗教が果たした役割と、持つ力とその発展、最後に社会が形成されたことによる結果。原初社会からの報告の読み解きが読んでいてい楽しくなった。儀礼の真の目的は集まること、同じ事を想うこと、それが人に力を与える。科学の上に立つ新たなる宗教という予想は考えさせられる。一つ一つ考察を積み重ねて結論に達する流れは物語のようにな感動さえある2013/03/18

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