出版社内容情報
自然淘汰と適者生存の事実を科学的に実証して進化論を確立し,自然科学の分野においてはもちろん,社会観・文化観など物の見かた全般に決定的な影響を及ぼした著作として,この『種の起原』の名を知らぬ人はないであろう.底本には一八五九年の初版を用い,最終版たる第六版までの各版の異同をくわしく記した決定版である.
内容説明
地質学・植物学・動物学など、博物学のはば広い基盤の上に立つダーウィン(1809‐82)の進化論の根底には、自然的存在としての人間の本質の解明ということがある。『種の起原』刊行後、科学は長足の進歩をとげたが、人間と社会、そして文明の問題を考える上で、ダーウィンの思想はつねに検討すべき重要な課題としてわれわれの前にある。
目次
地質学的記録の不完全について
生物の地質学的遷移について
地理的分布
生物の相互類縁。形態学。発生学。痕跡器官。
要約と結論
自然選択説にむけられた種々の異論
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おせきはん
11
種の地理的な広がりに氷河が重要な役割を果たしたとする考察をはじめとする内容はもちろんのこと、観察された事実をもとに慎重かつ地道に自身の考えを築き上げていく文章の構成も興味深いものでした。2018/08/10
tsubomi
10
2016.09.03-09.10:下巻はこの本を世に出すことで想定される異論・反論への予防線のような内容。穏やかに慎重に理性的に知りうる限りの証拠論文や研究者の発言を引用しながら対立者を理屈で論破しようと試みていますが、神の創造による世界を信じて疑わない研究者に対しては「科学を捨てる行為」と非難したり、ごく稀に文学的表現を用いて書いたりしていて、著者の冷静な理知の仮面の下の情熱を感じました。複雑に絡み合い関係し合った有機的なこの世界を眺め回して「なんて素晴らしい世界!」と感嘆している姿が目に浮かぶよう。2016/09/10
まふ
6
下巻では上巻で述べた種の本種と変種の中間種の痕跡が地質的に多く発見されないのは転変極まりない地質によるものであり結果的にその痕跡が極めて少ないため、またどの大陸にも同じような種が発見されるのは大陸の移動隆起陥没等の間断ない変動によるため、等すべては彼の主張を裏付ける証拠があることを丁寧に説明している。博物学は地質、動物、生物、環境等を含むすべてを指すものであり、博物学者はNaturalistと称されることを改めて理解した。2020/09/12
Hiroki Nishiyama
6
上巻に感想あり。2012/06/21
さきん
5
現在の学説はチャールズ氏の学説を補強した形に大方なっている。結構文章が頭に入ってきにくく、難しかった。2015/07/11