出版社内容情報
「科学と仮説」「科学の価値」「科学と方法」に次ぐ思想集第4巻.自然科学の法則は永劫不変のものかを論じた「法則の進化」のほか,空間論,集合論,量子論,倫理などをさまざまな観点から論じており,今日の理論を深く理解するためにも,またポアンカレの晩年の思想を知る上でも欠かせない著作である.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
MAT-TUN
8
さすが天才ポアンカレ。なんという明晰さ。豊富な話題のうちある章で、科学的倫理、倫理に反した科学はどちらも存在しえないという主張をしているが、そのシンプルな理由が印象に残った。三段論法の二つの前提のうち少なくとも一つが命令法でなければ結論が命令法にならない。そして科学の原理や幾何学の公理や実験的事実は直接法であるから、科学のみを基盤に「○○であれ」または「神に従うべき」という命令法(倫理)は導けないという。デイヴィッド・ヒュームの主張をうけてのものでしょうか。2013/02/10
しょ~や
1
当時の科学の変化の様子が感じられる表現が端々にあって面白い。量子論が登場し、相対論はこれからかという時期だろうか。カントールの無限もまさに登場したところ。ポアンカレの考えはその後の研究を通して洗練される前のものもあれば、今でも考える価値のある問題提起もあるように思う。2015/12/13