出版社内容情報
ヒポクラテスは，観察と経験と合理的な推論にもとづいて，初めて医学を経験科学の座に据えた人である．厖大な著作の中から，表題のほか『空気・水・場所について』『神聖病について』『技術について』『医師の心得』等，八編を収めた．ソクラテス以前のギリシア科学に関して現在に伝わる唯一の記録として著名なものである．
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おせきはん
23
「医学の父」ヒポクラテスの著作集です。呪術によらない科学としての医術を追求する姿勢が、ヒポクラテスの「誓い」に集約されていました。一方で、報酬に関する記述もあり、医術とお金の関係は普遍的であることもうかがえました。2022/01/16
蛇の婿
13
しっかりとした医学知識は無いものの、なんとなくは現代医学のノウハウを知る人間として楽しく読了。…私がどの程度の医学知識を持っているか、ですか？…ブ、ブラック・ジャックは読みました（震え声）。とはいえこの本には、当時の医者がどういうスタンスで患者に当たるべきかなどが書かれた部分しか訳出されておらず、具体的な当時の治療法などは一切載っていないので、環境、、大便、小便、痰、吐瀉物や粘膜を見て判断してるんだなぁ、ぐらいしか読み取れないのではありますが…2015/02/07
有沢翔治@文芸同人誌配布中
6
代ギリシアの医師、ヒポクラテス。それまで病気は神罰などの宗教的な理由だと信じられてきたが、観察と経験に基づいて原因を明らかにしようとした。例えば沼の水、風などである。また当時、癲癇の発作は神聖病と呼ばれており、神の仕業だと考えられていたが、これを否定。早くも脳に原因があると見抜いていたのである。 https://shoji-arisawa.blog.jp/archives/51527281.html2022/12/03
あめ
2
彼が「ヒポクラテスの誓い」と呼ばれるものを生み出すまでの思考のプロセスを知りたくて読んだ。観察眼が鋭い人で、「医術」に誇りを持つ人で、その「医術」を好き勝手に解釈・歪曲されることを心底嫌った人で、宗教や迷信に左右されない科学的な思考法を持っていた珍しい人だったことはわかった。時代背景は別で調べないとわからない。2016/08/22
Akihiro Nishio
2
四元素説（火、水、地、風）で人間の健康をあらわす古代医学がさっぱり理解できないでいたのだが、実際にヒポクラテスを読むと少しイメージできるようになった。１９１０年ごろまでは、主流であった考え方なので、もっと理解できるようになりたい。2012/03/29
