岩波文庫
人間

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  • サイズ 文庫判/ページ数 494p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003367353
  • NDC分類 134.8
  • Cコード C0110

出版社内容情報

大著『シンボル形式の哲学』から25年,アメリカに在って新しい知的刺激を得ながらその成果を取り入れて本書は書かれた.学説の長々しい議論を避け,明瞭簡潔な表現で,心理学,存在論,認識論の問題を論じ,神話と宗教,言語と芸術,科学と歴史を俎上にのせて,自己解放の過程としての人間文化を総合的に分析する.(解説=野家啓一)

内容説明

大著『シンボル形式の哲学』から25年、アメリカに在って新しい知的刺激を得ながら、その成果をとり入れて本書は書かれた。学説の長々しい議論を避け、心理学、存在論、認識論の問題を明瞭簡潔に論じ、神話と宗教、言語と芸術、科学と歴史を俎上にのせて、自己解放の過程としての人間文化を総合的に分析する。

目次

第1部 人間とは何か(人間の、自己自身の認識における危機;人間性への鍵―シンボル(象徴)
動物的反応から人間の反応へ ほか)
第2部 人間と文化(人間文化による人間の定義;神話と宗教;言語 ほか)

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

syaori

59
作者は人間を「シンボルを操る動物」と定義します。シンボルとは、例えば”りんご”という「名称」や「数」のことで、実体的なものではないそれらを「決った意味を運ぶシンボル」として用いることで人間は、現状を生きるだけでなく「可能なるもののための余地をつくること」ができる。それは芸術や宗教等が示す可能性・理想であり、これが人間活動の真の核心だとされるのですが、こうして人間が建設した文化、「シンボルの宇宙」は人間自身の宇宙にすぎないと言われた時、さらに深い「人間とは何か」という問いの前に立たされたように感じました。2019/07/29

壱萬弐仟縁

33
高校倫理で出る。500頁と大著。夏のフェアに本書。売り切れていたため、図書館閉架式より司書の方から発掘してもらった。英語で書かれた模様。序で、古い問題さえも、異なった角度から見、新しい観点から考えるという(9頁)。今やっている拙番組構成も19年前のを今日的課題を加味しているので、納得。ソシュールは言語と言の間に一線。言語は普遍的、言の過程は時間的過程として個人的(261頁)。トルストイは、芸術に感情伝染の源泉があると考えた(311頁)。美は精神の活動、知覚機能により、機能の特徴的な方向で定義(319頁)。2021/08/16

roughfractus02

9
著者は20世紀物理学から抽出した関数概念をシンボル形式として他の諸学に拡張し、晩年この形式を人間固有の自由の能力と捉える。ユクスキュルの感受系と反応系の2者から成る動物の「機能的円環」との比較から、第3の「シンボリック・システム」と呼び、神話的形象を道徳的言語に転換し、科学的記号に形式化するこの力が、一方で人間をプラトンの「洞窟の中の囚人」に留め、その本質を芸術が目覚めさせる、と本書はいう。ネットワークに管理を体感する現代読者なら、本書の芸術への言及の余白にこの自由の寡占の兆候を読むだろう(1944刊)。2019/04/28

amanon

5
前々から気になっていたので再読。さすがに初読のより理解が深まった感があるが、それと同時に本書が哲学入門書としていかに優れているかということを改めて再認識。タイトルそのものである「人間」という存在が人間独自のシンボルという道具を用いて、いかにこれまでの進歩を成し遂げてきたかということが如実に窺い知れる。また、この再読の際、とりわけ印象的だったのが、ヘレン・ケラーの言語習得のエピソードだったのだが、初読の時も同じことを述べていたに驚いたのと同時に納得させられた。これは、哲学科のテキストとして広く読まれるべき。2022/10/10

amanon

4
読了するのに時間がかかったこともあって、理解の程はあやしいが、一読してこれは繰り返し読むべき良書だと強く思わされた。解説にもあるように、カッシーラー哲学入門書であるのと同時に、良質な哲学入門書である。こんな良い本だったら、もっと早くに読んでおけばよかったと後悔することしきり。副題にもあるように、「シンボル」を鍵概念として、様々な領域を読み解いていくことで、人間…ひいては哲学の全容が明らかにされていくそのくだりは、かなりスリリング。とりわけヘレン・ケラーの言語習得の解説は、まさに一つのドラマで感動的。2018/03/22

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