岩波文庫
善なるもの一なるもの - 他一篇

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  • サイズ 文庫判/ページ数 159p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003366912
  • NDC分類 131.9
  • Cコード C0110

出版社内容情報

新プラトン主義の創始者,ギリシアの哲学者プロチノス(205~270)の主著.世界はひとつの根元的な存在である「善なるもの一なるもの」の流出であり,この世のすべてのものはその現れであるという彼の体系は,古代末期における宗教的なものへの哲学の転回を代表するものであり,キリスト教神秘主義に大きな影響を与えた.

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

新地学@児童書病発動中

120
詩的で美しい哲学の書。神秘思想の精髄が透明で香気のある文章で描かれる。この世を超えた善なるものは、人間にとって縁遠いものではなく、今ここに存在していることが説かれている。それに到達するには、自分をこの世につなぎとめているあらゆるものから、自由にならなければならない。隠遁する必要はなく、気づきが求められているのだ。主体と客体と言う二元論は、本書に書かれているようにこの哲学者の中では克服されていた。プロチノウスの哲学が西洋文明の基礎になっていたら、現代社会は今と全く異なったものになっただろう。2018/01/23

syaori

57
新プラトン主義の創始者プロティノスの著述二本を収録。語られるのは、すべての存在の始原となる「一者」について。それは善美や徳の源で、それから知性が、知性から精神が、精神から自然が生じるという流出論の一端も描かれます。そして一者を観照し、かの面影を目ざして行くことが「幸福なる人々の生活」であることが説かれます。実際的で地上的なアリストテレスの後に読むと、その内省的・宗教的な態度に驚きもするのですが、様々な一神教神秘主義思想や哲学に影響を与えた一者への道程は、精神性に溢れて奥深く、大変興味深く読みました。2021/07/09

双海(ふたみ)

12
哲学者って一体どういう頭をしているんだろう…プロチノスさんは何を食べていたのかな…2014/06/03

Kota

5
古代ギリシアの哲学書だが、宗教の聖典のような読中・読後感だった。それも「詩編」のように、形ないもの、語りえぬものを浮き上がらせようとし、人智を超えたなにものか(一者)を感得する方へと読む者を導いていく。近代以降の西洋思想では傍流的なキリスト教神秘主義や神智学、東洋なら禅や不二の思想、さらに井筒俊彦ならばイスラム神秘主義などにもその流れを見出す、一者からの流出という一大潮流の源泉とも言うべき本なのだろうが、難解というよりは(と言ってわかりやすくもないが)、敬虔さに裏打ちされた美しいテキストだと感じた。2019/05/03

うえ

5
「数が存在の一部だとするならば、むろん、一もまた存在だということになる」現代の数学者のようだ。「すなわち精神というものは、元来全くの非存在にいたるというようなことはむろんないのであって、それは下降によって劣悪なものにいた。またその意味において非存在にいたることはあるにしても、全然の非存在にいたることはないはずなのである」解説「プロチノスは、どんな違った題目について論じ始めても、結局の議論は同じことになってしまうので…プラトンの徹底的に自由な思索と、大いに異るところがあるように考えられる」2015/09/19

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