出版社内容情報
一六〇〇年,反宗教改革の嵐の中で火刑に処されたブルーノの主著.われわれをとりまいているこの宇宙は無限であり,さらに,地球や太陽と同様の星々が他にも存在していると主張して,それまでのスコラ的な閉ざされた宇宙観から,いっきょに近代的宇宙観へと人間精神の視野を転換させた画期的著作である.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やいっち
57
勇気ある偉大な思想家。学生時代、初読。数年前に再読。改めて読みたくなった。小説も書いてたとは! 認識不足だったよ。
壱萬弐仟縁
8
1584年初出。フィロテオ曰く、「無限な能力は欺瞞であり、存在するかもしれぬという無数の諸世界の可能性は詐(いつわ)り(略)だと言うのですか?」(62頁) 能力は無限。可能性への希望。若者には必要なものだが、充実した人生のためには万人に必要。「宇宙は 全体の無限(傍点tutto infinito 64頁)。そうえいば、高校の文化祭テーマに「無限」とする場合があったな。世界史を学ぶ高校生が読むのが最適な読者となるかもしれない。エルピーノ曰く、「低俗で金儲けのことしか念頭にない連中」(205頁)はダメだな。2014/02/05
Rachel
3
最高。図書館で借りたが中古で購入することにした。対話形式でブルーノの宇宙哲学が語られていく。宇宙は無限である、世界はいくつも存在するのだという主張を続け、異端尋問で処刑されたブルーノ。彼の運命を知っていると、最後あたりはもう泣きそうになってしまった。ガリレオは彼と同じ運命を歩まぬ為に地動説を捨てることとなった。これは読み易いよ。そして未だ色褪せない。2017/05/18
Fumoh
2
哲学とは、宗教ではない。エライ人を崇めることでもない。その当たり前である考えを、論じた本だと思いました。実際の宇宙論や力学の話などは、難しいうえに時代がかっていて、また詩のようでもあり、わけがわからないです。神学、詩の常識が入り混じっており、読みにくい。ただ、著者は本気で「科学」を志しており、そのためには中世学会を支配していた聖トマス流の神学観、アリストテレス思想、美的価値観によって根拠なく世界観を論じる在り方(美しいものは正しい)、そんなものを全て相手取らなければならなかったのだと思いました。2023/07/15
yuki
2
絶版本。アカデミズムの混沌の渦中を生きた、ルネサンス期の学者、ジョルダーノ・ブルーノ。コペルニクスの地動説を擁護し、アリストテレスの思想を批判。無限の存在の論証を、対話形式で展開。2014/11/17