出版社内容情報
「思想と動くもの」の巻頭を飾っている2つの「緒論」を収める．本篇をもってベルクソンのこの最後の著作の翻訳は完結する．この2篇はベルクソンが自己の思想の歩みを回顧し，彼をとりまいていた思想的環境の中からどのようにして彼自身の独創的な哲学を形づくってきたかを明らかにしたもので，まことに稀有な思索の記録である．
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うえ
7
『思想と動くもの』の三分冊目であり二篇収録。「私は哲学と科学の間に方法の相違を欲するだけで、価値の相違を認めるものではない。私は科学に対して大部分の科学者ほど謙遜ではなく、近世の学者が意味するような経験に基づく科学が事象の本質に到達することができると考えている。勿論科学は事象の一部分しか把握しない。しかし科学はいつかはこの一部の奥底に触れることができる。…科学と哲学は対象と方法を異にするが、経験の中で通じ合うのである。二つとも、常用の概念の中に貯えられ、単語によって伝えられている曖昧な認識を除き去る。」2023/07/07
