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岩波文庫
反復

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  • サイズ 文庫判/ページ数 333p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003363515
  • NDC分類 139
  • Cコード C0110

出版社内容情報

愛しながらも結婚にふみきれぬ憂鬱質の青年詩人.彼を見守る冷静な一人の心理観察者.『反復』はさながら一篇の恋愛心理小説である.だが,ここには,前に向かって人生を生きよ,とするキルケゴールの厳粛なキリスト教的人生観が織り込まれていて,それが著者自身の不幸な恋愛体験に即して展開されているのである.

内容説明

愛しながらも結婚にふみきれぬ憂鬱質の青年詩人。彼を見守る冷静な一人の心理観察者。『反復』は、さながら一篇の恋愛心理小説のごとく書かれている。だがここには、前に向かって人生を生きよ、と説くキルケゴールの厳粛なキリスト教的人生観が織りこまれていて、それが彼自身の不幸な恋愛体験に即して展開されているのである。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

呼戯人

19
人間は過去を追憶しながら未来へ突入する。ボートを漕ぐように、ムーンウォークのように過去を追憶しながら、未来に向かって人生を生きる。このような意識と時間の構造は、キルケゴールが言うように同一の運動である。過去に向かって後方に向かって過去を振り返るのが追憶であるとするならば、反復は前方に向かって計画の内に現れる。私たちの人生は記憶と意志の間に現れる。それ以外の現れようがないのだ。反復を意志する、この中にしか本当の経験はない。たとえそれが永劫回帰の形をとっていたとしても・・。2016/03/05

しゅん

17
こじらせ童貞×キリスト教、の一言で片付けたいところだけど、宗教における反復の概念は魅力的なのでもうすこし考えたい。ここでの反復はおそらく地獄の責め苦のようなイメージで、地獄の繰り返しとどう立ち向かうかという問いなのだと思う。それは宗教史や哲学史と学問領域を越えた場所で必要とされる思考ではないか。わからんけど。ヨブ記読み直そ。2020/05/13

hikarunoir

9
「レギーネ体験」真相に俺は恐らく辿り着いているが、回りくどく量を書き他人事として攪乱・隠蔽・正当化に努めようと窺える。準備に「ヨブ記」必読。2022/08/19

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8
ずたずたに引き裂かれた本かも知れない。青年の突然の失踪、繰り返される手紙、そして、「本当に引き裂かれた」手稿。あらゆる滑らかなものは、憂鬱と嘆きの濃霧の森林のなかで湿気を孕み朽ちていく。当然そこでは、「反復」の意味も、文字通りの反復とは違う。我々が目を見開いて対峙しなくてはならないのは、身も蓋もないほどただ一人ぼっちで至る、森ではない一本の木である。今回たまたまドゥルーズ経由でたどり着いたのであろうとも、それは決して間違いではなかったと思っている。キルケゴールの実存の生々しさが、ここにはある。2013/10/09

evifrei

6
哲学書は予備知識・記憶ではなくテクスト自体から読み解くのが基本的な読み方だと思うが、明文で明瞭な定義がされていない事項については想像力・関連資料を以て補充する他ない。『反復』についても同様。だが、饒舌な無口というか、手掛かりになりそうな箇所は散在しているもののいずれも明確ではなく解りやすくはない。『二倍にして受けとる』・『分裂した自己を取り戻す』この辺りからして既に『宗教的な贖い』・『自己の統一』という多面的な理解が可能。そもそも例外(詩人)から普遍を抽出するという試みそのものが言語化できるものかどうか。2019/08/30

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